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season5 10話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
10.『高貴なる沢瀉』
ということでジム受付、報告終わると電話が。
「はい」
『もしもし、チャンピオン・ヨーコですか?』
「はい、北條陽子です」
『私、オモダカです。ジムの視察はいかがでしょう?』
「たった今完了しました!」
報告してからヨーコ、はたと気付き、
「って、どうしてうちの番号を……?」
『ふふ……、私はトップですので、チャンピオンランクの方全員の住所、連絡先は把握しております』
「な、なるほど……」
(やっぱし色んな意味ですごい……)(汗)
『素晴らしい働き、感謝いたします。こちらも先ほど、ジムリーダー全員から貴方がいらした報告を受けました』
電話の向こう、満足げなため息のオモダカ。
『……チャンピオン・ヨーコにお願いして正解でした。貴方と勝負できたこと、みな喜んでおいででしたよ』
「よかった」
ほっとするヨーコ。
『視察の報告は直接お聞かせ願いたいので……、アカデミーエントランスにて、このあと午後1時に落ち合いましょうか』
「はい!」
『それでは、お待ちしております』
電話切れる。ぴっかりさん出てきてうなずきあう。
ベイクタウンの裏山でピクニックし、そこからミライドンで滑空してテーブルシティへ。
アカデミーまで走ってエントランスに入ると、オモダカが受付前に立っていた。
「トップ、お待たせしました!」
「ごきげんよう、チャンピオン・ヨーコ」
オモダカにっこり。ふとエントランスを見て、
「そういえば……、本にかこまれたこちらのエントランス、貴方はどう思われますか……?」
「好きです! なんかわくわくするし!」
オモダカ、クスクス笑い、
「それはよかったです。数年前、私がリノベーションのデザインをさせていただきましたので!」
どや! なオモダカ。
「えっ、すごい!」
「お誉めいただきありがとうございます。それでは、さっそくジムリーダーたちのご報告をお願いいたします」
「あ、はい! ええと」
オモダカ、手で制止して周囲を見渡し、
「……こちらでは人の目も耳も多い。どこか秘密のお話ができる静かな場所……、ご存知ないですか?」
「すみません。ほいじゃあ……」
ヨーコ、寮の部屋へ案内。
「ここが、チャンピオン・ヨーコが生活している寮のお部屋……!」
オモダカ、部屋を見回し、
「チャンピオンとしての素質は、こちらで培われたのでしょうか」
「うーん、はい、なような、いいえなような……」
ヨーコ、考え込むと、オモダカ頭を振り、
「いえ、そういえば……、寮には最近入られたのでしたね。近々ご実家にもお邪魔させていただくやも?」
「ぜひ! じゃけども、父が驚くかも」
「ふふふ。お父さまのそのお顔、私見たことがないので楽しみです」
オモダカ、愉快そうに笑い、
「……さて、本題に入りましょう。ジムリーダーたちを視察したそのご報告をお願いいたします」
「はい。あ、お茶を……」
「お構い無く。お気持ちだけで充分ですよ」
と、ぴっかりさんが出てきた。ぴっかりさん扉の前に立つ。
「ピカピカ!」
振り向くぴっかりさん。
「ぴっかりさん! もしかして見張りしてくれるん?」
「ピッカチュ!」
そうよ! 感謝しなさい! なぴっかりさん。
「ありがとう、よろしゅうね」
「まさに頼れる相棒ですね」
「はい! うちがここまで来れたんは、こん子のお陰じゃけえ」
ヨーコの答えに、オモダカ、どことなく嬉しそう。
「では……」
コホン、とオモダカ咳払いし、
「チャンピオン・ヨーコから見て戦いやすかったジムリーダーはどの方でしたか?」
「ほうですね……」
ヨーコ、考えつつ、
「コルサさん、ですかね。あくまでうちの感想ですけど、リズムというか調子合うからか、なんかほどよく戦えるというか……。ジム巡り始めたてのころは負けましたけど」
「ほう、コルサさんですか」
オモダカ、イケ指ポーズ。
「では、一番印象に残っているジムリーダーはどの方ですか?」
「うーん……」
ヨーコ、腕組んで考え込む。ややあって、
「すっごく迷いますけど……、リップさん、かね……。叔母がリップさんの会社で働いとるけ身内贔屓かもしれんけど、うちのこと励ましてくれんさって、才能突き詰めて欲しいって約束までしてもろうて……」
「リップさん……、納得です」
オモダカ、大きくうなずく。ややあって、
「……一番苦戦したジムリーダーは、どの方ですか」
「えーとですね……、搦め手使われて下手したら全滅しかけたので、アオキさん、ですね……」
「……アオキ、ですか」
なぜかため息まじりのオモダカ。
(お互い色々あるんかね……)(汗)
オモダカ気を取り直し、
「それでは最後に一番大事な質問です」
「はい」
「貴方が一番好きなジムリーダーはどの方ですか?」
「え、すっごく迷う!」
思わず叫んでしまうヨーコ。笑みがこぼれるオモダカ。早く決めなさいよ顔のぴっかりさん。
「うーんとえーと……、──ナンジャモさんですかね。相棒がでんきタイプじゃし、技の使い方がすごいし、同じでんき使いとして尊敬できます!」
「ほう、ナンジャモさん」
イケ指ポーズでうなずくオモダカ。後ろのぴっかりさんも大きくうなずく。ヨーコとオモダカ、ふたりで笑う。
「以上で質問はお終いです。……ありがとうございました」
オモダカ、にっこりとイケ指ポーズ。
「チャンピオン・ヨーコの視点、大変興味深かったです。運営の参考にさせていただきますね」
「いえ、こちらこそ楽しくやらせてもらいまして」
「ピカチュ!」
ぴっかりさんもヨーコに駆け寄る。
「おふたりのおかげで、私のスケジュールにとても余裕が感じられてきましたので、校長室でお話しした大会はぜひとも参加させていただきますよ」
オモダカ、にっこりと、
「チャンピオン・ネモもきっと喜んでくれますね」
ヨーコとぴっかりさん、ぱっ、と顔が明るくなり、
「やったあ! ありがとうございます!」
「ピーカチュウー!」
「それではお邪魔しました。……お疲れでしょうから、本日はゆっくりとお休みください。こちら、私の感謝の気持ちです」
入浴剤とかのリラックスセットもらう。
「わ! リップさんブランドのやつ! 確かすっごくお高いの! ええんですか?」
「無論です。依頼したお仕事の対価には足りませんが、ぜひお使いください」
「ありがとうございます!」
「では」
「お疲れ様です。父にもよろしゅう伝えてつかあさい」
「はい」
優雅に去っていくオモダカ。
*
リーグでのシーン。運営のあれやこれや。周作たち法務部スタッフも加わる。
「チャンピオン・ヨーコに、色々と教えたのですか?」
「いんや、わしらん方が教わってばっかしです」
*
夜。さっそくもらった入浴剤でリラックスするヨーコ。ぴっかりさんと共にベッドに潜り込んですやすや。
そして一週間後、ネモやリーグの働きにより、あっという間にポケモン勝負の大会開催日に。
*
当日朝、支度をすませ部屋を出ようとすると、
ドアのノックとともにネモが!
「あっ! ヨーコ!」
「ネモさん、おはよう」
「おはよー。ギリギリなんとか、学校最強開催の準備がととのったよー!」
「うん、良かったねえ。って、名前……」
「あ、大会の名前ね、『学校最強大会』にしたの! ペパーが『バトルスクールウォーズ』がいいって言いだして……、クラベル先生が気に入ったときは、さすがにこまっちゃった!」
ネモ苦笑い。
「あはは……」(汗)
ネモ、キリッとした顔で、
「……ヨーコは心の準備、バッチリ!?」
「うん! いつでもええよ!」
「お腹の底からいい返事! チャンピオンの実力見せてほしいな! ヨーコのおかげでトップもゲスト参加してくれるし、最高!」
「いやいやそれほどでも」
ネモ、肩を落として、
「……残念ながら、わたしは運営で裏方にまわるら、実際戦えないんだけどねー。ヨーコの強さ、客観的に研究させてもらうよ!」
「うん、きばる!」
「それじゃあ、エントランスの受付に集合しよっ! 遅刻厳禁だよー!」
「はーい」
ということでエントランス受付へ。
「ネモさーん」
「来たね、ヨーコ」
振り向くネモ。前にはスタッフが。
「学校最強大会に出場するには、スタッフさんにエントリー申請するの!」
ネモ、スタッフに振り向き、
「それでは、大会のご説明をお願いします!」
スタッフ、うなずき、
「学校最強大会のルールは、生徒や先生、どなたでも参加できる勝ち残りランダムマッチです!
運営がおこなうくじ引きで試合のカードが決まりますので、バトルコートで向かい合うまで誰が対戦相手なのかわかりません!
勝った人は引き続き次の試合にのぞめますが、一度でも負けると敗退し、以降の試合にはのぞめません」
思わず生唾を飲み込むヨーコ。
「つまり、勝負を続けて最後まで残ったただ一人こそが、学校最強のポケモントレーナーとなるのです!」
「どうもありがとうございます!」
ネモ、ペコリ。ヨーコもペコリ。
「クラベル先生と話しあって大会ルール決めたんだ! 今エントリーしてる人数的に、多分4回くらい勝てば優勝かな!」
「なるほど!」
「先生たちも強者ぞろいだから、がんばって!」
ネモ、裏方に回るべく走り去っていく。
「わたし以外に負けちゃダメだからねー!」
「準備が出来ましたら、お声がけください」
「はい」
ヨーコ、ぴっかりさん達を見直す。朝ごはん食べてなかったことを思いだし急いで食堂行ってエントランスへ。
「スタッフさーん!」
「はい。学校最強大会にエントリーなさいますか?」
「お願いします!」
スタッフ、受付表に記録。
「チャンピオンランクの、北條陽子さんですね!」
「はい!」
「エントリーが完了しました。それでは、会場へ移動してください」
いよいよ、勝負開始……!