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season1 10話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

10.『負け勝負から出た実(まこと)』


 疲れて動けなくなった相棒達をかばいながら、急いでポケモンセンターへ向かうヨーコ。

「まずはポケモンを回復させましょう」

 お姉さん、何も聞かず回復させてくれる。
 みんな元気になって出てくる。安堵するヨーコ。

「みんな元気になりましたよ。またがんばってくださいね!」

 優しく微笑みながら励ましてくれるお姉さん。黙ってお辞儀するヨーコ。
 と、

「ヨーコ!」

 ネモがやってきた。ホゲータ&パモももちろん一緒。

「ネモさん……」
「見てたよ。お疲れ様。惜しかったね」

 と優しく声かけしてくれるネモに泣くしかないヨーコ。ぴっかりさん達が足に触れてくれる。ネモも肩を抱いて、

「ジムの隣のプールでアイス食べよ、ね?」

 コジオソルトアイスを食べて落ち着くヨーコ。ぴっかりさん達はおいしそうにペロペロ。柔らかい塩味に、かつてすずから言われたことを思い出す(泣いてばかりだと塩分もったいないよ、というあれ)。
 さっきの勝負のことをポツポツ話すヨーコ。
 途中でネモが新しく仲間に入れたイワンコが出てくる。

「上手く活躍させてあげられないこともあるけどね」
「ネモさんでも?」
「そうだよ。だってポケモン勝負って、何が起こるかわからないもん。でも」

 ネモ、にっこりと、

「これからどんどん実ってくよ、ヨーコもみんなも!」

 その言葉に冷静になり、ふと思い付いたこともあっねぴっかりさん達と決意を新たにするヨーコ。笑ってうなずき返す。
 アカデミーに戻るついでにトレーニングするネモを見送り、励まされてジムに向かう。
 改めて受付し、バトルコートへ!



 風車のとこのバトルコート再び。ギャラリーから応援の声が上がる。そして上からもあの人の声が。

「来たなヨーコ!」

 見上げると、風車の羽の上にやっぱりコルサが。

「とうっ!」

 スタッ! と着地!

「よくぞ舞い戻った! その顔、審美眼とアヴァンギャルドさにさらに磨きがかかったようだな」
「は、はあ」(汗)

 戸惑ってしまうヨーコ。でも嬉しい。

「それでは、ワタシ達ふたりの合作アートを今度こそ作るとするか!」
「お願いします!」

 互いに勝負の準備。

「準備はいいな!? 成形……、開始だ!!」

 コルサの先発チュリネ、ヨーコは再びまんじゅう。
 さっそくマッドショットに紛れてどくびしをまくまんじゅう。ねむりごなをかわし、ポイズンテールで効果抜群。しかしメガドレインで取り返されるが、めげずにまんじゅうがポイズンテールを急所にあて勝利。
 コルサの次のポケモンはミニーブ。ヨーコはまんじゅう続投。
 どくびしにより毒をあびるミニーブに、すかさずポイズンテール攻撃。効果抜群。しかしはっぱカッターを食らわせられる。
 しかしめげずにマッドショットで撹乱、隙をついてポイズンテール。ミニーブのはっぱカッターと相討ち。

「ありがとう、まんじゅう」

 まんじゅうを戻し労うヨーコ。

「見所満載になったな! 新しい作品の完成まで一気に導くぞ!」

 最後、ウソッキー。

「頼んだわっぷるさん!」
「クワプルッ!!」

 気合い充分のわっぷるさん。

「さらなる細工をくわえよう! 題して、『ウソから出た実(まこと)』!!」

 ウソッキー、テラスタル。
 しかし、ヨーコ、わっぷるさんをテラスタルさせず、

「わっぷるさん、アクアジェット!」

 水をまとって突撃するわっぷるさん。しかし効果はいまひとつ。

「やっぱし厳しいか……」
「アートは時に速さが命! スピードを上げていくぞ!」

 くさわけをくらうわっぷるさん。ギリギリで耐えてアクアジェット!
 またしてもくさわけをくらうが、それでも耐えてアクアジェット! いまひとつでも効く。が、毒に苦しみながらもウソッキー倒れない。
 とうとうくさわけで倒れるわっぷるさん。

「互いに残り一体だ! キサマはここからどう造り上げる!」

 煽りなからも楽しげなコルサ。

「頼んだ相棒!」

 ぴっかりさんを出すヨーコ。

「ぴっかりさん、でんきショック!」

 ぴっかりさん、めげずにでんきショック。効果いまひとつのはずが、少しだけ効く。

「ん?」

 首をかしげるコルサ。
 その時、コートとウソッキーがアクアジェットの勢いで少し濡れていることに気付く。

「そうか、電撃を通りやすくしたか……!
 ウソッキーは元々いわタイプな分、水を吸い上げられないからな」

 楽しげなコルサ。
 一方のヨーコ、うなずきながらも、不安。

(思ったとおり、電撃はいつもよか効く……。でもあがな固い相手、毒回る前に電気足りんくなって倒れちゃう……。また、負けるかもしれん……)

 ヨーコの不安を察したぴっかりさん、キッ、とウソッキーをにらみ突撃!

「ぴっかりさん!」

 ぴっかりさんの脳裏に色々なヨーコの姿がよぎる。恐れながらも近づこうとしたこと、つっけんどんな態度をとっても仲良くしてくれたこと、ポケモンが怖かったくせに自分をムックルから守ってくれたこと、そして──

『友達に──初めての仲間に、相棒になってくれませんか?』
『ほいで、一緒に強う優しゅうしぶとうなって、もうおらん人の代わりに、一緒に世界を見に行きませんか?』

 刹那、体が光り輝き、ヨーコのため己の願いのため、ぴっかりさんピカチュウに進化!
 でんきショックをぶちあて仁王立ち!

「すごい、まげ(見事)じゃ! ぴっかりさん!」
「勝負の最中に進化するとは、実にスーパーアヴァンギャルド! 全力で養分にせねば無粋だなウソッキー!」
「ウッソ!!」

 ウソッキーを鼓舞するコルサ。ウソッキーも毒に苦しみながらも不敵にうなずく。

「今度こそ! どんどろ轟け、ぴっかりさん!」

 ヨーコ、ぴっかりさんをテラスタル!

「最後の勝負だ! ウソッキー、くさわけ!」
「ぴっかりさん! 地面に向かってめいっぱいでんきショックあびせぇ!!」
「ビーガーヂュー!!」

 くさわけで突進してきたウソッキーに、水を伝わせるのとテラスタルでパワーアップしたでんきショックを浴びせる! プスプスなウソッキー、倒れる。

「アヴァンギャルド!!」

 叫ぶコルサ。

「やったあ……」

 ため息をつくヨーコをどつくぴっかりさん。

「あだっ、ぴっかりさん?」
「ピーカ!」

 不満げ。相棒なんだから遠慮せず戦わせろっての、こちとら負けても気にしないんだから、な顔。

「うん。遠慮なく言うてほしかったんじゃね。
ほうよね、ぴっかりさん。ごめん。ありがとう。ありがとう……!」

 抱き締めるヨーコ。

「ピカチュウ!」

 それでよし、となでなでしてやるぴっかりさん。わっぷるさんとまんじゅうもげんきのかけらで治してやる。

「ありがとう。勝てたで」

 優しく伝えると、「やったね!」な感じでにっこりなふたり。
 みんなをボールに戻し、立ち上がってコルサと対面。

「なんというアーティスティックなタクティクス! 技のパターン! ポケモンのディテール! すべてが研ぎ澄まされている! 敗北を経て強くなったキサマ達との戦いを芸術と言わずして、他の何を芸術と呼ぶのだ!?」

 熱く褒め称えてくれるコルサ。

「ありがとうございます」
「ワタシの審査は文句無しの合格だ。その証にバッジを進呈しよう! 記念撮影にも応じてやるぞ!!」
「ありがとうございます!」

 ということで風車の前でパシャリ。

「キサマのようなトレーナーにはワタシのお気に入りもくれてやる!」

 くさわけのわざマシンをくれるコルサ。

「くさわけ、さっきの技!」
「ああ、インスピレーションが止まらん……、止まらんぞ……! 新作の制作にとりかかるゆえ、これにて失礼! さらばだ!」
「ありがとうございました!」

 みんなを回復させ、ジムへの報告をすると、

「あなたが噂の、北條陽子くん……、ですかね?」

 ヨーコ振り向く。金色の髪と瞳の男性。
 見学の時に美術室いた先生だ、と気付くヨーコ。

「はい。北條陽子です」
「ネモくんから期待の新人がいると聞いていますとも」
「ネモさん? ええと……」

 首をかしげるヨーコ。

「……急に話しかけて驚かせてしまいましたか。小生はハッサク。ポケモンリーグ四天王が一人。
 アカデミーでは美術を担当していますね」
「美術の先生……。それに四天王って、リーグにおりんさる滅茶苦茶強い4人のトレーナーさん……!」
「ご明察の通りです。唐突な質問をしてしまいますが、ヨーコくんはどうしてジムバッジを集め、チャンピオンを目指しているのです?」

 問われ、真顔で即答するヨーコ。

「相棒の技にふさわしいトレーナーになるため、ほいで強う優しゅうしぶとうなるためです」
「……お答えありがとうございます。いえ、正解などありません。すべての道がパルデアの大穴に繋がっていると言われていますのでね」

 黙ってうなずくヨーコ。

「あなたのご友人、ネモくんは、パルデア史上最年少のチャンピオン……。もしかすると、あなたも彼女と同じ可能性を秘めているやもしれませんね」

 ハッサク、踵を返しながら、

「チャンピオンランクを目指すなら、いずれ小生とも戦うこととなります。負けて後悔なきよう、今のうち励むとよいでしょう。小生が受け持つ美術の授業も、ぜひ受講してくださいですよ」
「はい」

 去っていくハッサク。ヨーコに見えない位置でかすかに笑っている。ぴっかりさん出てくる。

「お母さん達に電話しよう! 進化したぴっかりさん御披露目じゃ!」
「ピッカ!」

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