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がん経験者向け保険の概論

「がん経験者向け保険」について、知人から相談がありました。何から考えてどこまで答えたらいいのか、ずっと迷っています。

概論的な内容を記事にすることで、頭の中を整理してみます。

*正確性と即時性の担保のため、リンク先はすべて厚生労働省HPです。


がん経験者向け保険
がん経験者向け保険は、罹患後でも加入できる保険として、再発に備える機能新たながんにも備える機能があります。販売している保険会社はまだまだ限られており、加入条件や保障内容の違いもあります。

加入の是非
❶人生観・価値観や性格、❷毎月の収入・支出や預貯金額」次第という月並みな内容に集約してしまいます。

傷病手当金制度との関係をどのように考えるか、を検討してみます。

傷病手当金制度
制度趣旨は、①休職中の生活保障です。②給付条件を満たすことで、③月収の2/3が支給されます。

支給期間が「通算して」1年6ヶ月と改正されたことで、以前よりも活用しやすくなりました。その意味では「仕事と治療の両立」にも繋がっていると思われます。

改正前は支給開始日から「起算して」でした。
術後に数日利用し、再発時には支給期間が終了して利用できない事例がたくさんあったはずです。

改正前


②(支給条件)ついて

労災保険との違いがよく分からない場合には、一度調べる必要がありそうです。また、支給条件を満たすか否か、実際に利用するかどうかはその時になってみないと分からないという不確実性があることも理解しておきたいです。また、職種や職場環境によっては、(残念ですが)利用のしやすさに差があるのも現実ですね。

*感染症でも利用可能
インフルエンザやコロナなどに罹患した場合も、条件を満たせば支給されます。年次有給休暇と傷病手当金のどちらかの選択になると思われます。
育児や介護がある方は、あえて傷病手当金を選択して年次有給休暇をキープするのもありですね。

雇用保険(育児休業給付金介護休業給付金)について

①③(生活保障・月収の2/3)について
生活保障だけでなく、医療費(治療費)まで賄えると考える方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、高額療養費制度の所得区分に応じた月収を仮定して、2/3から治療費を差し引いてみます。

限度額適用認定証orマイナ保険証を利用する前提

利用しなくてもいいですが

区分イ
例)月収60万→40万(2/3)
自己負担限度額16.7万を引くと「23.3万

区分ウ
例)月収30万→20万(2/3)
自己負担限度額8.01万を引くと「11.99万

区分エ
例)月収21万→14万(2/3)
自己負担限度額5.76万を引くと「8.24万

上記「◯万」から、さらに社会保険料や前年度の住民税など諸々の天引き・支払いがありますね。家賃やローンの支払いもあると、手元に生活費が残らないことも出てきそうです。一方で、付加給付のある一部の組合健保の場合だと、状況は変わるかもしれません。

❶毎月の収入・支出や預貯金額」次第
治療費まですべて賄えてしまう場合や、生活保障どころではなく預貯金を取り崩す場合もありそうです。翌年以降、区分が変わり負担が少なくなる場合もありますが、変わらないかもしれません。

リスク管理の観点から、自己負担限度額ちょうどの治療費と仮定しました。その結果、多数回該当になる場合もあります。もっと治療費が安い場合や、ぎりぎり自己負担限度額未満の場合もあり得ます。

これからも何とかなる、治療費の心配はしたくない、毎月貯蓄や投資にまわしている、ダブルインカムだから…色んな考えがあると思います。

❷人生観・価値観や性格」次第
再発後の治療のために、日々生活しているわけではありません。保険の加入によりもっと前向きになれたり安心できたりする手段になりそうか、というのがひとつの目安かなあと思います。

以上を前提に、冒頭に戻ります。

「何から考えてどこまで答えたらいいのか」

がん経験者向け保険の中身を知ると、また考えが変わるかもしれません。せっかくの機会なので、深掘りします。

加入条件や保険料も気になりますが、一番は保障内容です。保険に対して何を求めるのかにもよります。毎月保険料を支払ったのに、治療費を賄いきれないのがかつてのがん保険でもありました。

まずは傾向と分析から始めます。

長くなりました。
次回に続きます。

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