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がん経験者向け保険を考える②|主契約と高額療養費制度
今回から保障内容を具体的に検討してみます。
アフラック保険のこちらの商品です。
https://www.aflac.co.jp/gan/exwings/
上記サイト内の「保険料シミュレーション」では給付金額を変更できません。性別・年齢と各オプション(特約)の有無で、保険料の違いをイメージする程度の役割です。
リーディングカンパニーの保障内容を検討することで、がん保険の潮流も理解できて広がりが出てくることを期待します。
![](https://assets.st-note.com/img/1723740146920-KbijBzvzvA.jpg?width=1200)
⚠️保障の開始まで3か月の待ち期間(保障されない期間)があります。
パンフレットでは、薬物療法を「ホルモン剤」とそれ以外の「抗がん剤」としています。
本記事でもその表記に従います。
*本音
後者は抗がん剤ではなく「殺細胞性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体」と総論で整理して、殺細胞性抗がん剤のこの薬剤、分子標的薬のこの薬剤」と各論で理解することで、保障内容はもちろん副作用管理の観点からも適切な理解に繋がると思います。
→「抗がん剤」とまるめて表記しがちですが、個人的にはやめてーと心で叫びます。医療費も副作用も投与方法・時間も、全然違います。まるめるなら薬物療法(治療)です。
◆ベースとなる保障
「主契約」から検討し、必要に応じて「オプション(特約)」を付加していくのが一般的です。
ですが、上記パンフレットではそうなっていません。あくまでも高額療養費制度を前提に、保障内容を重視したモデルになっています。
確かに現実の医療費負担を考えた場合、パンフレットのようにできると理想的です。
ということで、パンフレットの見開きに加えて、私なりの工夫も盛り込んでいきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1724630433952-jWSv2hhVfh.jpg?width=1200)
上記4つの保障は金額の変更ができます
①治療保障(特約≒主契約)
「治療保障」があることで、標準治療における医療費(治療費)の心配は“ほぼ”なくなります。高額療養費制度の適用区分から逆算した給付金額を設定することで、安全装置のような役割になります。
特約ではありますが、こちらから検討します。
パンフレットには「取り外すことができません」と記載があり、契約概要にも「組み込まれた保障」となっています。実質主契約の扱いですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1723744433127-nQqCaJOiCY.jpg?width=1200)
69歳以下のおすすめ10万/月(パンフレット記載)
「区分ウ」を前提に、自己負担限度額に達しても対応できる給付金額です。医療費(10割負担)が120万でも1万程度余裕がある(自由に使える)想定になっています。
「区分エ」は定額57,600なので4.2万程度余裕がある一方、「区分イ」では自己負担限度額だと不足してしまうため、20万/月などに変更が必要です。
なお、最低は5万/月です。
住民税非課税者の「区分オ」以外は、自己負担限度額だと不足する計算です。
*治療給付金だけでは不足するケース
給付金10万/月の場合、「区分ウ」は医療費(10割負担)226万で初めて30円不足する計算です。
固形がんの保険診療だと免疫チェックポイント阻害薬の併用でも、現在は200万を超えないと思います。一部の血液がんでは超高額のCAR-T細胞療法が標準治療になっています。次回の記事でまた触れます。
治療保障の中でも「抗がん剤と緩和療養」のみの場合は「60回」です。たとえば、抗がん剤や分子標的薬だけの治療が毎月続いた場合、丸5年です。
高額療養費制度には「多数回該当」もあります。
「区分イ」は10.7万(給付金20万/月を想定)
「区分ウ」は5.56万(給付金10万/月を想定)
「区分エ」は5.56万(給付金10万/月を想定)
の余裕がある(自由に使える)計算です。
![](https://assets.st-note.com/img/1723701593898-u06ZZvBb6c.jpg?width=1200)
https://www.mhlw.go.jp/content/000333280.pdf
以上のとおり、①治療保障を先に検討すると、②入院・通院保障は(医療費を除いた)実費だけの想定で一応は済みます。逆に入院・通院保障から検討してしまうと、漠然と高く見積もってしまう雰囲気が漂ってきます。
*パンフレットの“おすすめ”
69歳以下と70歳以上で、おすすめの給付金を分けています。高額療養費制度を参考にしており、関連性は認められます。もっとも、最終的には所得区分次第になりますので、具体的に金額設定を検討することに変わりはありません。
②入院・通院保障(主契約)
入院・通院保障は、地域性がポイントになると思われます。また、給付請求時に一律診断書が必要なことも覚えておきたいです。
最低は各0.3万/月で、無制限です。
アフラックは入院・通院であっても、治療計画書や領収書、明細書などでの簡易請求を認めていません。しかも院外様式(当社所定の『入院・通院証明書』)なので、診断書代は割高です。
https://www.aflac.co.jp/keiyaku/seikyu/contents/insurance_claim.html
◇入院保障
入院時食事療養費(食事代)、必要に応じて差額ベッド代や入院レンタル代程度です。交通費や診断書代などもありますが、次の通院保障で触れます。
食事代は2024年6月から自己負担額が490円/食です。一日あたり1470円の計算です。
1泊2日の入院の場合、入院日数は2日になるため差額ベッド代も2日分ですが、食事代は一日分が一般的です(昼・夜・翌朝)。
パジャマやタオルなど入院レンタル代は、委託業者ごとに差がありますね。セットの内容にもよりますが、一日あたり3〜500円でしょうか。
◇通院保障
時代は通院治療になりましたので、通院保障もあると助かります。交通費や帰りに美味しいものを買ったり食べたりする費用などでしょうか。
*ご褒美・ご馳走
再発後は、いかに通院を楽しめるかも大切だなあと感じます。子どもっぽいかもしれませんが、ご褒美の存在は重要です。付き添ってくれるかもしれない家族や友人にも、院内カフェ程度はご馳走したいなあと私は思ってしまいます。
*地域の事情
コロナ禍以降、有料大部屋・個室・特室の差額ベッド代と各種診断書代の値上げを見かける機会が増えました。医療費に含まれず、病院は自由に料金設定できます。
たとえば都心の場合、トイレ・シャワー無しの最安の個室は3-3.5万/日(6-7.0万/泊)、2万台/日までならラッキーだなあという印象です。院外様式の診断書の場合、0.8万前後/通は普通です。
*ケーススタディ
・月1〜2回の通院治療、診断書代0.8万/回の場合
通院給付金を毎回申請してしまうと、その都度診断書代が掛かります。院外様式の診断書だと、通院給付金を上回ってしまう場合もありそうです。
そこで、通院4回で1回(2〜4ヶ月に1回)給付申請をすると、診断書代を3回分(2.4万)節約できます。1回あたりの診断書代は0.2万の計算です。
とはいえ、診断書が必要なことに変わりありません。保険に加入していなかったり、加入していても通院保障がなかったりする場合には、「治療保障の余裕分を回す」or「通院保障の給付金額で調整する」のどちらかになりそうです。保険料とのバランスもありますね。
*定石と奇手
新病棟完成のタイミングで値上げは、定石です。
ところが、2024年5月に移転した仙台厚生病院は差別化を図りました。409床完全個室化で、半数超が無料です。さらに有料の個室(シャワー・トイレ付き)も、0.5-0.6万/日と破格です。診療科は限られていますが、症例数が多く立地も良いです。このあたりの情報は、報道もされました。
一方、目立たない形で院外様式(生命保険会社証明書)11,000円も破格です。どこかのクリニックかなと思ってしまう奇手(妙手?)を放ちます。
病院が生き残っていくための戦略のひとつだなあと感じます。
https://www.sendai-kousei-hospital.jp/general/admission
次回は、残っている特約です。
◆参考リンク先
『もっと知ってほしい高額療養費制度のこと』のパンフレット(PDF)はとても参考になります。
Q10は「多数回該当」に間接的に関係する内容ですが、押さえておきたいポイントです。
あとがき
通院事情は、地域性が顕著に出ますね。
沖縄在住当時は起伏に富んだ場所に住んでおり、折りたたみ自転車を押しながらの帰宅でした。
ゆいレール沿線ではなかったので、公共機関もバスだけです。
通院される方は本当に大変だろうなあ、タクシーにも乗りますよね…などと今更ながら感じます。