がん遺伝子パネル検査⑦|日本癌学会市民公開講座**
先日の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)での発表を受けて、マニア界隈は騒がしいですが、日本の学会も良い仕事をしています。
9/23に開催された第42回日本癌学会市民公開講座が、YouTubeにアップされています!
がん遺伝子パネル検査に直接関係するのは、第Ⅱ部 がんゲノム医療です。最新の情報を動画で分かりやすく知ることができます。
ひとつの講演あたり20分程度ですので、移動時間にor週末にまとめてなど、生活スタイルに合わせてご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1697561751759-IAChDMTkjk.jpg?width=1200)
講座の内容
◆第Ⅰ部 免疫療法
講演1 「免疫チェックポイント阻害薬」(抗PD-1抗体薬・抗PD-L1抗体薬)について。感染症との歴史に遡って「免疫」を説明しています。「免疫と抗体の関係」も丁寧に説明していて、とても分かりやすいなあと感じました。
がん遺伝子パネル検査とは無関係な表題にも思えますが、検査によって免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できるか=「TMB」「MSI」の数値がHighか、ということも知ることができます。
MSI:マイクロサテライト不安定性
講演2 「CAR-T細胞療法」の説明です。一部の白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫など血液がんで実施されている治療法ですね。現状と課題について、分かりやすく説明しています。
CAR-T細胞療法の中で、一番有名だと思われる「キムリア®点滴静注」の最新の薬価(10割負担)を調べてみたところ、「3264万7761円」(2023年8月改定・第8版)。他も同額ですね!
◆第Ⅱ部 がんゲノム医療
講演1 「がん遺伝子パネル検査」の一般的な説明をがんゲノム情報管理センター(C-CAT)の統計も引用しながら、説明しています。理解しにくいエキスパートパネルやC-CATの役割も分かりやすく説明してくれています。
講演2 「小児がんにおけるがん遺伝子パネル検査の役割」について、説明しています。希少がんや原発不明がん同様、早期での保険適用になることから、診断補助や予後予測などの目的も兼ねているという特徴があります。
講演3 「がん遺伝子パネル検査の現状と課題」について、説明しています。以前ご紹介した『提言書』や『患者アンケート』も登場します。講演を聴いて興味を持ちましたら、以下のリンク先からお読みになると、より深く理解できます。
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会場の横浜
公開講座の会場が横浜だったということで、神奈川県内の「がんゲノム医療●●病院」について。
神奈川県には「中核拠点」病院はありませんが、「拠点」病院が4箇所、「連携」病院が11箇所、あります(2023年10月現在)。
![](https://assets.st-note.com/img/1697568041706-lgk7unsVQU.jpg?width=1200)
https://www.mhlw.go.jp/content/000928433.pdf
「連携」病院が上記の7箇所しかないと見せかけて、東京都の「中核拠点」「拠点」と連携している医療機関が、4箇所あります。トラップですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1697566587237-Xr924xbRIN.jpg?width=1200)
北里大学病院
![](https://assets.st-note.com/img/1697566587271-On84ZRGPPU.jpg?width=1200)
横浜市立市民病院
![](https://assets.st-note.com/img/1697566587232-eS6kKOX4nd.jpg?width=1200)
横浜市立大学附属市民総合医療センター
![](https://assets.st-note.com/img/1697566703308-r0imzsIBjQ.jpg?width=1200)
国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院
以上より、神奈川県内でがん遺伝子パネル検査を受けることができる医療機関は、計15箇所です。
トラップ防止のため、都道府県ごとの「がんゲノム医療●●病院」を調べるときには、こちらのサイトでの検索がおすすめです!