がん遺伝子パネル検査②|実施のタイミング**
はじめに
今回は「がん遺伝子パネル検査」を“実施するタイミング”についてです。
軽く前回の復習です。
・がん遺伝子パネル検査を受けられるのは「がんゲノム医療中核拠点・拠点・連携病院」、つまり「がんゲノム医療●●病院」です。
・「(中核)拠点病院」と「連携病院」の違いは、専門家会議(エキスパートパネル)の有無であり、その有無から生じる差にも言及しました。
詳しくは、こちらでどうぞ。
◆費用
認知度自体は比較的高いPET検査。
がん(悪性腫瘍)であっても「他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。」と保険適用の条件が決まっています。そのため、健康のために受ける人間ドックなどでは、残念ながら保険適用とはなりません。参考までに、費用は以下のとおりです。
◆保険適用の条件
対照的に、いつまで経っても低い認知度を維持し続けているがん遺伝子パネル検査ですが、やはり保険適用の条件があります。内容が細かくて分かりにくいですが、「であって」以前の部分については、前回もご紹介しました。
また、上記「終了が見込まれる者」について。
以上から、がん遺伝子パネル検査が保険適用になるかどうか、とりわけ「終了が見込まれる者」かどうかは、主治医が判断します!となります。
◆実施のタイミング
さて「いつ実施しますか、先生!」となります。
諸条件を満たす必要はありますが、理想的な実施のタイミングとしては「標準治療の終了見込み」の段階です。なぜなら、標準治療の終了後だと、がん遺伝子パネル検査の結果が出るまでは少なくとも無治療になってしまうからです。
医師向けの「診療ガイドライン」でも、次のように言及しています。
「ターンアラウンドタイム」とカタカナ表記にはなっていますが、前回ご紹介しました「結果が出るまでの時間」(turn-around-time)」です。
「turn-around-time」の観点からすると「血液検査(リキッドバイオプシー)」の方が有利であり、また検体採取も簡易的でかつ侵襲性も低いことから、検査件数も増加傾向にあります。
なお、検体の差し替えなどがない限り「〜連携病院」でも8週間はかからないというのが、現状のようです。
まとめ
なんだか小難しい内容になってしまったような気がしています。一応、私が患者だったら知りたい内容なのですが、どこまでいっても基準が私というジレンマからは逃れられません。
大前提として、がん遺伝子パネル検査を受ける意思が患者さんにないのでしたら、主治医も無理に勧めることはありません。でも、受けるかどうか判断するための知識はある程度必要になります。
なお、今回の「実施のタイミング」については、費用負担の観点でも大変重要になってきます。
「3割負担でも16.8万円…高っ」となりますが、全額負担することはありませんし、ケースによっては実質0円というCM状態になることも。ということで、次回から「費用負担」をテーマにします。
<動画で学ぶ>
前回の参照先一覧以外で、かつ動画縛りですと、以下の2本がお勧めです(なお、通院先またはお近くの「がんゲノム医療●●病院」のサイトも覗いてみると良いのかなあと思います)。
◎がんとともに生きる 第2弾
テレビ朝日で放送された番組で、「がんゲノム医療中核拠点病院」の国立がん研究センター東病院が舞台となっています。
「がん遺伝子パネル検査」の説明はもちろんですが、遺伝子変異とそれに合わせた分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬について、一部のがん種を引き合いに出しつつ、具体的に説明しています。
“50分程度”ですが、どなたがご覧になっても分かりやすいと思います。「がんと生きる」で具体的なアドバイスを提案し続けているあの坂本さんも後半に登場されます。
◎ゲノム検査
最新のがん情報サイト「オンコロ」内のセミナーです。がん遺伝子パネル検査について「がんゲノム医療連携病院」北里大学病院のデータも紹介しています。
“1時間程度”の講演ですが、理解できるとかなり優秀な患者さん・ご家族です!
現在のがん遺伝子パネル検査の実際の運用を理解するためには、こちらの動画となります。患者さん・ご家族向けとしては、現時点での最高到達点かなあと感じます。
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