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キミ



此処までやっと生きてこれたのだ
ボクとキミ
ボクが余所見して
何よりいっとう大事なキミを
ボクの命より大事な命を
失うほど愚かなことは無いのだ
ボクこそがただ一人の理解者、共感者
と言えばキミは苦笑するだろうけど
キミの悲を苦を怒を
分かち合えるとすれば
ボクしか居ないじゃないか
分かってるさ
同じように痛みをボクが味わえないことを
傲慢にも分かった心算でいることも
それでも
眠り続けたキミの枕元
祈り続けば
キミは何度だって戻ってくれたじゃないか
安息の眠りを妨げられて
苦悶に顔歪ませ
ボクを憎んだろうね
キミがイヤダイヤダと泣きじゃくっても
ボクはそれだけは拒んだ
罵られても恨まれても
他の何を許容出来ても
キミの喪失だけは耐えられないんだ
ボクのエゴ
そうだね、そうかも知れないね
でもキミは今
微笑んでいるじゃないか
その瞳の底に限りない絶望が在ったにせよ
時にボクにむかって言葉を発するじゃないか
払拭出来ぬ記憶と
理不尽と枯れぬ涙と
それらが消えずとも
お願いだ
ボクの為に生きてくれないか
愛という名の暴力で
キミを
此処に留まらせるボクを
憐れんでおくれ
縛り放さぬボクの手を
その小さな歯でぎりぎりと
噛んだっていいのだ
毒づき叫び泣き喚き
ボクの背中に爪たてて
疲れるまで掻き毟っておくれ
ありがとう
ありがとう
ごめんな、より
ありがとうを繰り返すよ
キミを何度も抱き締めるよ
胸の鼓動をその温もりを
感じていられることの幸せを
決して二度と失わないために
美しいもの清らかなもの
それらを共に見つめて行こうじゃないか
全ての悪に無理解に批判に罵倒に
耳塞ぎ
愚鈍なる輩よ
醜悪なる傍観者よ
無知なる裁きの者よ
全て塵となれ
キミとボクに不必要な害悪など
果敢に踏み潰す力を
ボクは持とう
あ、今、
ふっと笑ったね
可笑しいかい
ボクらしいって?
ああ、ボクはボクでしか在り得ないんだ
だから
キミもキミで居ておくれ


キミ


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