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入院中のメモより

もう六年前になりましょうか。
お風呂で転倒し救急搬送、のち手術。
複雑骨折というより、粉々に上腕部の骨が砕けており当時『神の手を持つ』と言われた医師に施術して貰えなければ私の腕は2度と動かなかったでしょう。8時間に及ぶ手術。
私の右腕にはチタンが入っています。

長い長いリハビリが始まりました。
当時付き添ってくれたのは娘の杏里です。


「白い三角巾はあまりに病人っぽい」と・・杏里が100均で購入したというバンダナを二枚縫い、
それはそれは素敵なonly1の三角巾を持って来てくれました。何枚もの三角巾。
『カッコいいですね』と特に男性看護師さんに評判が良かった。

夜、消灯時間のあとは長い。
緊急病棟ゆえに痛みを訴える方、術後の方、重篤な方多し。
一番好きな77歳のご婦人。夜中に「たすけてください。もう痛いのは厭です。
自尊心を粉々に壊されるのも厭!
何故?何故、あの方達は意地悪するのでしょうか。
助けて・・ 美しいまま、せめて今、逝かせて下さい」
とっても上品で物腰も言葉使いもお優しいご婦人に

1人の看護師さんの言葉は激しくて
「痛い!?当たり前やん!もう~~動かんね!いい加減にし!
おむつくらいでいちいち呼ぶな、コールすな」

腹たった・・
それよりも、更に
婦人の娘、ろくでなし!
「テレビカードを買って来て下さる?」と、母親がお願いすれば
「あ、丁度お金持ってない。千円じゃなくて一万円、無きゃ五千円でもいいから、ママ、出してよ。」
常に、お釣りを貰って帰る。後・・ご婦人は娘さんに「ママ、カード買ってこうか?」と言われるも
「あぁ・・テレビはあまり観ないから、もういいわ」と断るようになった。
凄い90歳のオバアチャン、また農作業で鍛えたような腕と野太い声の女性。両足骨折。痛い痛いと夜通し叫んでた。
看護師さんと喧嘩するほど心は折れてなかった。


初めての紙おむつ・・結構精神も痛いんだぞ。皆・・身体も心も痛がってるんだぞ。
少しは・・声荒げず、優しく・・ほんの少しでいいから。
それ願っちゃ駄目?

暗い部屋、
サイレンの鳴る度に、病院に近付く救急車に、近くの犬が反応する。
看護師さんの舌打ちと文句が始まる・・
忙しいよね。分かるし、十分に理解も感謝もしました。でも・・救急病棟で
あれらの言葉、行い、わたしは忘れない。
あ、最高にイカシテル看護士さんも居た。顔じゃなくって、言葉、表情、慰められたなぁ・・
百羽一絡げにして綴っちゃイカン。
ごめんなさい。

冒頭に戻る。
日記も書けない暗い部屋で乱雑に、
動くほうの腕でメモしておいた。
娘にただただ「ありがとう。あなたは何て優しいのだろう」と。

泣きながら生死の間彷徨い(麻酔による夢)
娘と何やら天井に顔が見えた気がして、此方に引き戻された。

その後、覚悟決めれば本気になるわたしw
リハビリ士さんが驚くほどに、・・・頑張ったぞ~~っ!
★仰向けに
 乳房のバンダナ指でなぞり
その縫い目の感触に、我が娘想う★

殴り書きのメモ・・見っけ。
健忘録として。

杏里ありがとう。

もう眠ってる?