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わたしの世界


 月



かの紅き絢爛たる月は
彼女を怯えさせ

その丸いカタチの
影の在り様は

陰鬱たる
多くの涙を映す酷さか
無情かと


捻くれささくれ不信の鎧に
閉ざした胸を掻き毟る

眉の如き細きかの月を
もう一人の彼女は愛し祈り

その形状にも似た心象の儚き具現


求めて止まぬ彼女の絶望の衣を
指し示すかのように
孤独のうちに打ち沈む

わたしを見る貴女よ貴女

色や形状になど何の意味があるものか

わたしは常に変わらぬのだ


ほら 可視なるわたしは
不可視の外に在るのだよ

観るあなたたちが
その混沌と浅ましき思慮の裡にて

わたしを語るのだ

灯の当て方で、ほら
貴女もあなたも貴方も
カタチは変わってみえるじゃないか


このような簡単なる事実を
忘れるでないよ、とー

おや?
まだご理解頂けない

なら路上の影法師を見るがいいわ


優しき月は
雲から顔出して微笑む

あぁ・・・雲よ雲、そんなに速く流れないでおくれよ
邪魔・・

何たる迂闊さ
わたしは
雲ではなく風に物申すべきでありましたか

#振り返りnote

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