いざなう
白装束にだらりと黒髪垂らし
振り向きながら
おいでなさいな、と
目で囁く
森の奥にわたしの棲家があるのよ
怖い?
わたしを物の怪か気狂ひと
お思いか?
なら、来なくてかまわぬ
その代わり
ずっと、あなたは
この日をこのわたしを
忘れずに悶々と過ごすこととなりましょう
怖いもの、不条理な場面、居てはならぬヒトガタは
あなたの目にはまがいもの、或いは害為すものと
映りましょうか
幻惑に
怯えきってらっしゃるのね
お気の毒に
不可視を信じぬならば
凡庸たる時しか
送れまい
お好きに
ご随意に
再掲