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寺山修司:人生処方詩集

寺山修司は、エーリッヒ・ケストナーにならって、『人生処方詩集』を
綴りました。
「薬にたよらずに、詩によって心の病気を治療する」ための「心の病のための処方箋」
わたしの愛読書のひとつです。


すきなひとを
 指さしたら
 ひとさし指から花がさいた

 きらいなひとを
 指さしたら
 ひとさし指が灰になった

 ところですきなひとのことを書いたら
 鉛筆から花が咲くのでしょうか

 きらいなひとのことを書いたら
 鉛筆は灰になるでしょうか
(『恋のわらべ唄』)より

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嘘を言ったら濁った色の唇になり
魚の腐った匂いを放つ

正直な人の唇はパステルカラーになり
芳しい匂いを放つ

愛と優しさを持つ人は虹色のオーラを放ち
 人を悪く言う人はどぶねずみ色になる

誰かを色と匂いで判別出来るなら
幸せになりましょうか

つと そんなことを考えた
真夜中の戯れ言です

薔薇色の唇と吐息
欲しいわ

おやすみなさい。
素敵な夢を。