Why Should Not Old Woman Be Mad?
老女は何故狂ってはならないのか
老女は知っている
権力に抗い闘ったモノたちの行く末を
改ざんされた真実が
時と共に、事実に変わるということを
サルトルを愛読した少女が
やがて老い諦め
書のタイトルの如く
彼女こそが
他者に嘔吐せしめる愚鈍な怪物に変わったことを
正しいものは普遍ではなく
時代と共に真理は変貌することも
倫理すら国の物差しで決まっていることも
大自然の生命力
変わらぬ輝きと
質素な、何にも執着せぬ優しき息吹を
そのエネルギーを食らうものが在るとすれば
それは、紛れも無く、ヒトという魑魅魍魎であることを
正しいもの 美しいもの 普遍のものは
有形無形であれ、絶対的なる有無は語れず
そういうモノが仮にあるとするならば
ただ道の隅に咲く名も無き花であり
岩にぶつかり弾ける水飛沫であり
要は、ヒトが介在しない密かさと慎ましさ
邪魔せぬ沈黙と受容
だから見つからぬよう微かに
この情動を
思いの丈を
呟き囁き 嘆息するのだ
摘まれる花にならず
踏み潰される石にならず
流される木の葉にならぬよう
隠れ密かに微かに
侵されぬよう
注意深く目立たぬよう
嗚呼 老女は怨み嘆き懐旧する
堕落 崩壊 裏切り 要は言葉などどうだってよいのだ
その情動をも変質させし
上面への妥協と愛想笑いと
畏れを知らぬモノへの迎合
憎んでやまない裡なる姿
嗚呼 老女はわたしなのだ
さて諸君
老女は何故狂ってはならないのだ?
※タイトルは W・B・イェイツより拝借。イェイツの場合、男性は・・でしたがw
(再掲)note振り返り