憧れだった貴方へ(三羽 鳥さま企画”#恋文求ム”参加作)
私にはかつて、何年も憧れ続けた人が居ます。
あの時の想いはいまだに心のどこか片隅で小さく
くすぶり続けていて、私の胸を焦がそうとします。
消えそうで消せない、そんな若き日の情熱の灯火を
「届かない手紙」としてここに記そうと思います。
あの初夏の祭りの夜以来
ずっと僕の憧れだった貴方へ
お元気ですか
あの頃憧れだった貴方は
きっと今もお綺麗で
重ねた年月がより一層
貴方を和服の似合う淑女へと
変えているのではないでしょうか
貴方が手紙に書いた言葉
これからも
友達のままでいてほしい
だから私は
友達のままでいるために
ずっと近くに
友達のままでいたかったから
貴方への想いを心の奥にしまいこんで
友達として貴方を見続けていました
ある日人づてに聞いた
貴方が結婚するという話
久しぶりにみんなで集まった時
ちょっと照れ臭そうに
でもとても幸せそうに
そんな話をする貴方を
友達として僕は見ているだけでした
僕には貴方を
あんなに幸せそうな
あんなに輝いた笑顔には
出来そうにはなかったから
一晩中泣き続けて
その泪で消えたハズの炎は
何故かいまだに
心の隅に消え残っています
貴方は今も僕の憧れの人のままです
貴方が心に刺した小さな針は
時折ちくりと僕に切なさを感じさせます
この傷はもう僕の一部ですから
僕自身とともに墓まで持っていきますね
こんな僕とも友達になってくださった
気さくで優しい旦那様
貴方と目元が似ていた可愛い男の子は
立派に成人なさっているでしょう
みなさんお元気にしていらっしゃいますか
僕はそれなりに今日を生きています
もしまたどこかの空の下で
お会いすることがあるとしたら
その時はあの頃と同じように
小首を傾げて微笑みかけてください
僕もまたあの頃と同じように
はにかんでみせますから
どうかいつまでもお元気で
貴方の幸せを遠くから願っております
Kより
ラブレターなんて何十年ぶりなんだか(笑)
その時書いたものも、宛名は同じ人でした。
これ、今の相方には見せられないですね。
怒られるとか妬かれるとかではなく
単に私が恥ずかしいだけなんですが。
三羽 鳥さま。
素敵な企画をありがとうございます。
おかげさまで私はまた一歩、前へ進めそうです。