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雑記と私#37:ジ・エンターティナー

記事にするのが少し遅くなったが、先日行われた
世界的な格闘ゲームの総合大会『EVO 2024』。
その中でも特に印象に残った選手がいるので
ご紹介しようと思う。

PGW はやお選手。
グローバルセンス株式会社「ProGamersWorld(PGW)」事業部に所属する
”正社員プロゲーマー”。
格ゲーだけでなく様々なジャンルのゲームに
通じ、また運動神経もバツグンでダンスも踊れる
パフォーマーでもある。

今大会ではメイン競技として選ばれた
『ストリートファイターIII 3rd Strike』において
見事4位に入賞を果たしている。
使用キャラは”ヒューゴー”。

ヒューゴー(画面左)。
高い体力と攻撃力、そしてコマンド投げを駆使して
戦う、所謂”コマ投げキャラ”である。

ストIII3rdでのヒューゴーはキャラ性能的には
”弱いキャラクター”である。
普通の人がこのキャラで勝つのはかなり難しい。

特に”スーパーアーツ(SA、所謂超必殺技)”の
『ギガスブリーカー』は決まれば相手の体力を
一気に半分持って行ける破壊力を持つ反面、
そのコマンドが「レバー2回転+Pボタン」という
高い入力難度を誇る扱いが難しい技だ。
さらにヒューゴーというキャラが見た目通り
動きが遅く、また”コマ投げキャラ”という性質上
常に対戦相手にはコマ投げを警戒されている。
決めるチャンスがほとんどないSAの代表的な技だ。

はやお選手はそれを精密機械のような精度と
熟練の”読み”であっさりと決めてしまう。
レバー2回転というコマンドをキャラが”立ったまま
(レバーが上方向を通過しているので普通はジャンプ
してしまう)”決める通称『立ちギガス』の他、
『背面ギガス』『空気椅子ギガス』『倒立ギガス』
など様々なバリエーションをお持ちなのである。

え?何を言ってるのかわからない?
こちらをどうぞ。

話が脱線してしまった・・・いやそうでもない。

この動画もそうなのだが、はやお選手はとにかく
ゲームを心の底から”楽しんで”いる。
そしてそれをパフォーマンスとして観客や配信を
見ている視聴者にもどんどんアピールしてくれる。

冒頭に貼った私のツィートにある、今大会の
はやお選手のハイライトを見ていただければ
その事がきっと伝わるだろう。

試合中は高度な読み合いからほんのわずかな
スキも見逃さない戦いぶりを繰り広げながら、
その合間では常にカメラを意識しながら細かい
アピールやパフォーマンスを欠かさない。
絶やさぬ笑顔は観る者だけでなく対戦相手まで
引き込んでしまうのだ。
正に”檀上のエンターティナー”である。

圧巻だったのはTOP4を掛けた準々決勝。
かつて日本の格ゲー界のレジェンド”ウメハラ”氏が
同じEVOの舞台で見せた『背水の逆転劇 』と呼ばれる
シーンをも彷彿とさせるような窮地からの
逆転勝利をもぎ取ったシーンだ。

それまでにも披露していたパフォーマンスで
すでに観客の心を掴んでいたはやお選手。
その奇跡的な勝利に会場のボルテージはMAXまで
膨れ上がり、最前列の観客たちがはやお選手との
ハイタッチを求めて一斉にステージに駆け寄る。
はやお選手もそれに応え、その喜びを爆発させた。
場内総立ちでの「ハヤオ」コール。
ゲームを通じて会場が一体となった瞬間だった。


ゲームって楽しいものなんだな。
はやお選手はそれを体現してくれる人なのだ。

格ゲーに限らず対戦ゲームをやっていると
少なからずイライラを感じる時がある。
そんな時こそはやお選手の常に楽しそうな笑顔を
思い出し、『ゲームは楽しむモノ』という
ある意味1番大事な精神を思い出したいものだ。


余談だが記事の表題になっている
『ジ・エンターティナー』とは
スコット・ジョプリン作曲のピアノのための
ラグタイム曲のタイトル。
聴けば誰もが「あ、この曲!」という有名な曲だ。
その楽しげなリズムとメロディははやお選手には
うってつけだろう。

eスポーツや格ゲー、はやお選手のようなそれを
取り巻く選手たちもこの曲のように「あ!」と
言われるくらい一般にも広がっていくといいのだが。

ちなみにプロレス好きの私なので
”リングの葬儀人”『ジ・アンダーテイカー』にも
少々引っ掛けていたりする。
ヒューゴーとテイカー、ちょっと似てない?

アメリカプロレス界のレジェンド、
ジ・アンダーテイカー。


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