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再会、そして…After Story :短編小説と私

あれから5年。

ワタシたちは大学を卒業して、それぞれに就職した。
卒業までは4人で集まって何度か遊びに行ったり、
旅行したりもしたなぁ、楽しかったよホント。
免許を取った孝弘クンの運転、ちょーっと
危なっかしかったな・・・早く運転慣れてよね。

ワタシは今、オフィスで会計をこなしてる。
OLってヤツ?

そうそう、卒業前にビックリするニュースが
飛び込んできたの。

孝弘クンから急に電話が掛かってきてさ。
いつもならメールで済ませるのに。
どうしたのかと思ったら「結婚する」だって!
同じ会社の女性と社内恋愛だったとか。

それでなっちゃんと遥香ちゃんと3人で集まって
結婚祝いとかどうしようかって、相談することに
したんだけど・・・。

「ホントにビックリだよねぇ、まさかこの中で
孝弘クンが最初に結婚するなんてさ。」
ワタシがそう言うと、遥香ちゃんがそれに続けて
とんでもないことを言い出した。

「ねぇ。それも”できちゃった婚”なんてさ・・・。」

えっ?えぇっ?!
「ウソでしょぉーーーーっ?!!」
ファーストフード店に響き渡る、ワタシの声。
「バカ!千紘、声デカいって・・・。」
なっちゃんに怒られた。そりゃそうだ・・・。
こっちを睨んでる人にペコペコ頭を下げる。

「・・・プッ!アハハハハハッ!」
「ちょっとぉ!もう、遥香まで・・・。」
遥香ちゃんはワタシたちと一緒に過ごすように
なってから、随分くだけた感じになった。
いや、たぶんこっちがホントの遥香ちゃん
なんだろうな。ワタシたちが副部長の頃の
イメージで近寄り難い人って思い込んでただけ。


今度こそ、ワタシの恋は終わった。

でも、不思議と悲しくはなかった。
むしろ、なんかちょっと嬉しいかも。
幸せになってね、孝弘クン。


披露宴の二次会で、孝弘クンのお嫁さんと
ご挨拶した。
ワタシたちよりひとつ歳上の、とっても素敵な人。
慣れない場でアワアワしてる孝弘クンを
奥さんになるその人はしっかりと支えてた。
・・・なんだか吹奏楽部の頃の、孝弘クンと
遥香ちゃんみたい。

「あ、そっかぁ。」
「ん?どうしたの千紘?」
「あれ見て。やっぱり孝弘クンは、遥香ちゃん
みたいな人が良かったんだね。」
「あー・・・ありゃ尻に敷かれるね。」
「・・・そうだねぇ。」
なっちゃんと2人、ちょっと笑っちゃったよ。


孝弘クンから久しぶりにメールだ。

『産まれました!目に入れても痛くないくらい
可愛いです。落ち着いたら遊びに来てね。』

とっても可愛い女の子の赤ちゃんの写真が
添えられてた。うふふ、いいなぁ。

あ、そうだ。
ちょうどいいから、孝弘クンに相談してみよっと。

『実はね、会社にちょっと気になる人がいて・・・』


・・・あれ?
大塚さんからメールが来てる。
何かの返信?
ワタシ、何か送ったっけ・・・。

『あの、これってもしかしてぼくのことですか?』

ん?
・・・。
・・・・・・。

誤爆したーーーーーっ!!

『気になる人がいるんです』なんて本人に
送っちゃってどうすんのよ、ワタシ!
サイアクだよーーーっ!

どうしよう・・・。
明日どんな顔して出勤すればいいんだろう・・・。
いやムリムリムリムリ!
人生初のズル休みしようかな・・・。
・・・ダメだ、明日中に伝票処理しないと、締め日に
間に合わない、ひーん。


ワタシ今日、ちゃんと寝られるかな・・・?

fin

《あとがきはこちら》


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