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音楽と私#12:アニメ・特撮ソングの”究極形”

水木一郎さん。

アニソン・特ソンの第一人者と言ってもいいだろう。
一昨年前に亡くなられた時はただただ声を失った。
アニキは私にとって尊敬する歌手だった。
あるいは崇拝していた、それくらい影響を受けた。

後述するラジオ番組のイベントに出演された際に
アニキの代名詞でもある「おたけび」の発声法を
解説しておられたのを自分なりに必死に練習し、
アニキには遠く及ばないものの、それなりの
「おたけび」は上げられるようにはなった。


さて、アニソンというと
「昔(昭和)のアニソンは名曲が多かった。」
「あの頃のアニソンはよく覚えているが、最近の
アニソンはそこまで覚えていない。」
こんな声をよく聞く。

私が中学の頃から聞いていたラジオ番組がある。
ラジオ関西で現在も放送中の『青春ラジメニア』と
いうアニメ・特撮ソングを専門に扱う”アニラジ”の
先駆けともいうべき番組である。

その前身である『アニメ玉手箱』の頃から番組の
中でも使われていた用語に「究極系(究極形)」と
いう言葉があった。
これは当時のパーソナリティ、岩崎アナウンサーが
提唱していたアニソンの有り様を表す用語だ。

その定義はというと

  • そのアニメのために制作された楽曲である事。

  • その曲の中に番組のタイトルが含まれている事。

  • その曲を聞けばそれだけでその番組の内容が想像出来るような曲である事。

  • その番組の雰囲気に合っている事。

などが挙げられる。
『マジンガーZ』を始めとするロボットアニメなどは
まさにこの典型だろう。
※スーパー戦隊シリーズは長きに渡りこのラインを
継続しているところがあったのだが、近年では
ここも変化してきているようだ。
(※10/5追記・修正)

もう1つ。
”究極系”には「子供にも歌いやすいように作られて
いる」という副次効果がある。
一度聴いたら忘れない、覚えているというのは
おそらくこれが要因ではないだろうか。

時代が進むにつれてこうしたアニメソングは徐々に
淘汰され、avexを始めとする大手レコード会社の
台頭とそれに伴うタイアップ曲が中心となる。

アニメ等の「ヲタク文化」がすっかり認知され
一般社会に根付いている今であれば、こうした
タイアップ曲であっても制作側とアーティストとの
事前の打ち合わせなどを経て、その番組に合った
楽曲が提供されるのが普通になっているが、当時は
ただレコード会社が売り出したいアーティストの
番組の内容とはまるで関係のない曲が当たり前の
ようにアニメのオープニングやエンディングで
流れていた。
『SLAM DUNK』や『るろうに剣心』のような例は
どちらかというと奇跡的にマッチした組み合わせ
だったに過ぎない。

我々の世代はやはり、いつまで経っても”究極系”を
求めてやまないのだ。


ところで、究極系の”究極の二択”と呼ばれた命題が
ある。

『残酷な天使のテーゼ』。
この曲は”究極系か否か”。
アニメとアニソンをこよなく愛し、”究極系”を
提唱し続けた先述の岩崎アナウンサーはこの曲を
”究極系”と位置付け、リスナーとの間に論争を
巻き起こした事があったのだ。

これに関して私は答えを見いだせないでいる。
『新世紀エヴァンゲリオン』を「碇シンジという
少年の成長物語」とするなら”是”、SFロボット
アニメとして捉えるなら”否”、だからである。

これをお読みになられた方はどうお考えだろうか。

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