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(ゲーム)音楽と私#10-2:サイトロン・レーベルとZUNTATA[後編]

前回はVGM(ビデオゲーム・ミュージック)が1つの
音楽ジャンルとして市民権を得るまでの黎明期から
サイトロン・レーベルの発足までをお話しした。

今回はそのサイトロン・レーベルの中興期を支えた
各ゲームメーカーのサウンドチームとその活動に
ついてお話しをしていこうと思う。


サイトロン・レーベルでは各ゲームメーカーの
サウンドチームを”アーティスト”として捉え、
各ゲームのサウンドトラックにその名を刻んだ、
というのは前回の記事でもお伝えした。

その中でもいち早くから活動し、サイトロン・
レーベルの中興を支えたのが
SEGAのサウンドチーム『S.S.T.BAND』と
TAITOのサウンドチーム『ZUNTATA』だ。

両サウンドチームは各サウンドトラックに
実演奏によるアレンジバージョンの楽曲を
提供、収録される他、イベントなどへの出演も
行なうようになる。

そして1990年、角川主催の『ゲームミュージック
フェスティバル』においてこの2大バンドによる
夢の共演が実現。このライブの模様を収録した
ビデオやライブCDがサイトロンから発売され、
ファンがこぞって視聴したのだ。
無論、私もその1人である。

このゲームミュージックフェスティバルは途中
角川グループのお家騒動に巻き込まれながらも
95年まで毎年開催され、矩形波倶楽部(KONAMI)
ゲーマデリック(データイースト)、J.D.K BAND
(日本ファルコム)、アルフ・ライラ(CAPCOM)、
新世界楽曲雑技団(SNK)など数々のバンド達を
世に送り出すことになった。


さて、その中でも私が熱狂したのがZUNTATAだ。
前回記事の後半でも少し触れた『DARIUSダライアス』や
『ニンジャウォーリアーズ』の登場とそのVGMは
あまりにも衝撃的だった。

アーケードゲーム『DARIUSダライアス』筐体。
何から何まであまりにも”規格外”なそのデザインと
サウンドには度肝を抜かれた。

ダライアスは3面のディスプレイをハーフミラーを
使って「隙間無く」繋げるという、特殊な3画面を
使用した横スクロールのシューティングゲーム。
各ステージに登場するボスたちも1画面を占有する
大きさで、その迫力は当時としては信じられない
レベルのものだった。

そしてその迫力を支えるのが重厚なサウンドだ。
当時のゲームはアーケード作品でもほぼモノラルで、
ステレオサウンドを採用していたのは専用の
筐体を使用していた『沙羅曼蛇サラマンダ(KONAMI)』など、
ごく一部に限られていた。

ダライアスはその筐体にステレオスピーカーを、
そしてプレイヤーが座るベンチシートの”下”に
サブウーファーを設置。専用にカスタムされた
サウンドチップに制御されたそれらは、文字通り
身体ごと音で包み込む空間を作り出すのだ。
ちょっとした地響きすら起こしてしまうため、
店舗によってはベンチシートの下にあるサブ
ウーファーの配線をカットされてしまうほどだ。

またステレオOUTのプラグがコントロールパネルの
前面に設置されていて、数年前にウォークマンが
登場して以降利用されるようになったステレオ
イヤホンを差し込んでその世界に没頭することが
出来るようにもなっていた。

そしてZUNTATAの楽曲だ。
これらの環境をフルに活かすべく用意された
サウンドは退廃的で独特な世界観を醸し出す
非常に重厚、それでいて耳心地の良い、
ZUNTATAにしか作れないVGMだった。

さらにTAITOはこの筐体を利用して次はアクション
ゲームを開発、市場へと投入する。
それが『ニンジャウォーリアーズ』だ。

アーケードゲーム『ニンジャウォーリアーズ』。
このゲームのVGMがZUNTATAの存在を
決定的なものにしたと言っても過言ではない。

ニンジャウォーリアーズのVGMは当時では
考えられない、1ループが4分を超える長尺の
楽曲が採用されている。
より磨き抜かれたZUNTATAの世界観。
その象徴として今なお愛され続ける1曲がある。
STAGE1、そして最終STAGEにて流れるVGM
”DADDY MULK”だ。

この曲、ニンジャウォーリアーズを知らなくても
聴いたことがある人も多いハズ。
非常に人気のあるVGMで『太鼓の達人』や
『maimai』『D4DJグルミク』など、メーカーの
垣根を越えて様々な音ゲーにも採用されている
名曲中の名曲なのだ。
ZUNTATAといえば真っ先にこの曲を思い浮かべる
人も多いだろう。

以降もTAITOの数々のタイトルで独創的なVGMを
奏で続け、今なお活動の続くZUNTATA。

興味を持たれた方は是非1度触れてみて頂きたい。

最後にゲームミュージックフェスティバル'90で
演奏された”DADDY MULK”をご紹介しておこう。
”ゲーム中でも流れる”三味線の独奏は必聴である。
(三味線ソロは3:05~)


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