【ゼミvol.9 研究発表】
卒論の章立て
1.境界知能とは
2.境界知能を取り巻く現状の紹介
3.抽出される課題
4.研究の社会的意義
5.仮説
6.今後の展望
1.境界知能とは
境界知能者とは知能指数(=IQ)で平均的とされる部分(IQ85-115)と、障害とされる部分(IQ70以下)の境目にあたる知能のこと。
軽度知的障害などとは違い、目に見えて言語や運動面で遅れが目立つわけではない。
しかし、
っぽう、本論文で中心に取り上げる境界知能の特徴は以下の通りである。
・感情コントロールが苦手ですぐカッとなる
・人とのコミュニケーションが上手くいかない
・集団行動ができない
・忘れ物が多い
・集中できない
・勉強のやる気がない
・やりたくないことをしない
や、併存障害・ストレスへの脆弱性が指摘されている。
2.境界知能を取り巻く現状の紹介
宮口幸治「ケーキの切れない非行少年たち」(2019)において少年院での事例が多く紹介されている。少年院に収監されている児童たちの多くは境界知能と見られ、認知機能の弱さが指摘されている。
そういった状態にある境界知能者を取り巻く現状の社会課題について説明する。
事例①「療育手帳の交付」について
療育手帳・・・発達障害や知的障害を持つ人に交付される手帳。公共料金やサービスの割引が受けられるほか、特別支援学校への入学資格・障害者雇用の判断基準とされることもある。
療育手帳に関しては、全国共通のサービスであるにも関わらずその交付基準が各都道府県・自治体の裁量によるものが大きくなっている。
事例②「特別児童扶養手当の給付」について
特別児童扶養手当も療育手帳同様、全国共通のサービスであるにも関わらずその交付基準が各都道府県・自治体の裁量によるものが大きくなっている。
経験者のブログを以下で紹介する。
事例③「高等特別支援学校入学資格」について
こちらも事例を紹介したい。
高等特別支援学校の入学資格に関しても先述した療育手帳の有無が関わって来る。また知能指数の程度によっても変わる。
病院で境界知能と診断を受けながらも知能指数、あるいは療育手帳の有無によって入学を拒まれてしまう事例もある。
3.抽出される課題
上述した事例から課題を抽出する。
① 境界知能者に対する行政面での明文化された判定基準がない
② ①の影響により境界知能者への公正なサービスが供給されていない
もしこれが解消されなかった場合を想像してみよう。
境界知能者に対する社会的排除が起こる。
計算やものの名前を覚えられるなど健常者が当たり前に行えることを苦手とする彼らにとって「自らの努力不足」と自己を苛むことに繋がる[1]。その結果、犯罪・非行に繋がり悪循環が発生する。また内閣府ユースアドバイザープログラムにもあったように、境界知能者はストレス耐性が低く軽度知的障害者と同様の配慮が求められる。
4.研究目的とその社会的意義
研究ゴール
「境界知能者を包括する行政・教育制度の提言」
👉境界知能者の置かれる現状を明らかにすること、加えて今後境界知能者が感じ得る生きづらさを制度の面から解消することを目指す。
研究の社会的意義
「境界知能および境界知能者の知名度の向上と行政、当事者、研究者など様々なアクターの連携を明らかにする」
「当事者の声を社会に届ける」
5.仮説
ここでは、本研究のゴールである政策提言のうち、現時点で考えている仮の提案を示す。
現時点で私が考えている提言は以下である。
・境界知能者への療育手帳交付のための判定基準の全国統一
・境界知能者への特別児童扶養手当交付のための判定基準の全国統一
・境界知能者の特別支援学校の受験資格の引き下げ
あるいは
・境界知能の準軽度知的障害認定
である。
6.当事者への聞き取り調査
本研究には当事者の声を多く含んだものにしたい。
よって、当事者やその周辺家族への聞き取り調査を行う。
聞き取り対象:ポダン様
長女さんが発達障害・境界知能ということでブログを連載されております。
メール上でのやりとりで取材。
質問内容
①長女さんは療育手帳をお持ちですか?
②特別児童扶養手当は受給していますか?
③高等特別支援学校には通っていますか。/通う予定ですか。
④中学校内での長女さんへの具体的な支援内容
⑤リベンジ夜更かしについて
⑥周囲のサポート体制の利用ついて
今後の展望
・回答を収集。
・調査対象者を増やす。
👉取材は申し込んでいるものの、調査を受けてくださる方は少ない。
アメブロのみならずTwitterで活躍している方にも申し込みを検討。
・子ども家庭センターについて調査
事例をとにかく収集する。
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