カリマンタン島?ボルネオ島?どっち?
こんにちは。
今日のテーマは、カリマンタン島とボルネオ島についてです。
カリマンタン島とボルネオ島は同じ島のことを言います。
しかしインドネシアでは「カリマンタン」、他国では「ボルネオ」と言い方が分かれています。今回はその理由や背景を以下にまとめました。
①地域固有の呼称としての「カリマンタン」
②外来者による呼称「ボルネオ」
③政治的背景による名称の使い分け
①地域固有の呼称としての「カリマンタン」
「カリマンタン」という名称は、島の先住民や地域住民によって古くから使用されていた呼び名です。この名称の起源については複数の説があります。一つの有力な説では、「カリマンタン」はサンスクリット語に由来するとされています。「kala」(時間)と「manthana」(かき混ぜる)が組み合わさり、「暑い」や「燃えるような」という意味を持つ「Kalamanthana」となったとされます。これが時代とともに変化し、「Kalimantan」になったと考えられています。また、マレー語で「ダイヤモンドの川」を意味する「Kali Intan」が語源であるという説もあります。これは、島の南東部を流れるバリト川が「カリ・インタン」と呼ばれていたことに由来するとされています。
②外来者による呼称「ボルネオ」
「ボルネオ」という名称は、16世紀以降に欧州の探検家や植民者によってもたらされました。この名称の起源は、島の北部に位置するブルネイ王国に由来すると考えられています。ブルネイ王国は7-8世紀頃から中国の文献に「渤泥(ブルネイ)」として登場し、10世紀頃には島の北部で強大な勢力を誇っていました。16世紀にポルトガル人が島を訪れた際、この「ブルネイ」という名称を聞き、それが訛って「ボルネオ」となったと考えられています。その後、オランダやイギリスなどの欧州諸国が島に進出し、「ボルネオ」という名称が広く使用されるようになりました。19世紀末には、オランダとイギリスによって島が分割統治され、この名称が公式に使用されるようになりました。
③政治的背景による名称の使い分け
現在、「カリマンタン」と「ボルネオ」の名称の使用には、政治的な背景が影響しています。インドネシアは独立後、植民地時代の名残である「ボルネオ」という名称を避け、「カリマンタン」を公式な呼称として採用しました。これは、国家のアイデンティティを確立し、植民地支配からの脱却を象徴する動きの一環でした。現在、インドネシア領の面積は島全体の約73%を占めています。一方、マレーシアとブルネイは「ボルネオ」という名称を引き続き使用しています。ただし、マレーシアでは自国領の部分を「サバ州」「サラワク州」と呼ぶことが一般的で、島名にはあまりこだわっていません。このように、同じ島に対する呼称の違いは、各国の歴史的背景や政治的立場を反映しています。国際的には両方の名称が併用されており、文脈によって使い分けられています。
以上です。それでは皆さん良い一日を。