暑い日の甘味処
人形町をはじめて訪れた。
暑いからかき氷でも食べたいなと、ぶらりと歩く。
今年の夏は、日傘とハンディーファンを片手で持てるようになった。
やっぱりさっき見かけたお店が気になる。
何やらおいしい予感がするのだ。私のおいしいレーダーは外れることがほとんどないのが自慢だ。
甘味処 初音
1837年創業というと、江戸時代末期から続いている。東京で最古の甘味処らしい。
平日の八つ刻に伺ったのだが、運良くすんなり入店できた。私の後は、店外で数組が待っていた。
深い木の机に、四角い椅子がぴったりと並ぶ。仕切りのガラスには花のような模様があり、懐かしさを誘う。調べたところ「昭和型板ガラス」というものらしい。確かに、祖母の家の引き戸はほとんどそれだった。だから懐かしさを感じたのか。
「氷小倉白玉をお願いします」
「氷小倉白玉ね、写真ので良いですね」
「はい、お願いします」
小倉あんが、もう、きらきらしていて。
甘くて、あまくて、ちゅるり、ひえひえ。
そんな感じだ。
もっとちゃんと書こう、noteだし。
「小倉あん」をしっかりと認識したのは、実はこの日が初めてである。あんといえば「粒あん」か「こしあん」だと思っていたのだ。
その「小倉あん」が、ソースのようになっており食べ進めるにつれて氷との一体感が増していく。
写真をちゃんと見ていなかっただけなのだが、白玉が想像していたよりもたくさん入っていて嬉しくなる。ちゅるりと舌触りが良く、ふわふわもちもち。小倉あんの甘さと粒の食感を中和するようだ。
氷の下に白蜜でも入ってる?と思うほどの甘み。それでも最後まで飽きのこない美味しさだった。
氷を削る機械もレトロな見た目で、写真は撮らなかったけれども、雰囲気最高なのだ。あぁ、大好き甘味処。
あったかいお茶も、茶釜で沸かしたお湯を使っている。
本当に大好き、甘味処。
冷房がしっかり効いていたので、お代わりしたお茶がじんわり沁みた。
気になるものがたくさんあったし、まだあんみつを食べていないから季節が変わったらまた行こう。
チョコパフェもやってるらしい。気になる!
なぜ人形町に出かけたのかというと、人形町せともの市をやっていたからだ。まだそんなに詳しくはないが、器が好きで、というより食べ物が載っている器が好きなのだ。
よく母と器を見るとこんな会話になる。
「あ、これサンマだね」
「おいしそう、だし巻き卵もいいよ」
「ねぇ、山盛り唐揚げ」
「麻婆豆腐だね」
「あぁ、あり」
手軽に買える器も良くて、歴史のある焼き物も良くて。
私は日本に残る伝統が好きで、少しでも長く残って欲しいと思っている。器以外にも包丁や急須、和ろうそく、タオルに傘。食べ物だってそうだし、建物もだ。私に出来ることなんてほとんどなくて、それらを知ること、使うこと、そんなものだろう。
ちょっとした私の夢なのだが、古道具を生活に取り入れたい。
特に今気になっているのは氷箪笥だ。オープンラックのように使って、食器棚にしたい。
想像しただけでわくわくする。
今はまだ、ネットでオークションを覗いてはニヤニヤしている。
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