帰りの道 #3
ゴロゴロ…
稲妻が空を切り裂き、闇を照らす。
ヒュー…
風が吹き抜け、寒気を感じる。
ざわざわ…
木々が風に揺れ、不安な音を立てる。
シーン…
そして、すべてが静寂に包まれる。
ザッ…
誰かの足音が近づく。
ガサ…
何かが落ち葉を踏んだ。
パキッ…
枝の折れる音が響く。
ドクン、ドクン…
急に心臓が早くなる。
「キャー」
暗い森の中、ひとりの少女が震えながら歩いていた。嵐の予感がする夜、彼女は家に帰る途中で道に迷ってしまった。稲妻が空を照らすたびに、彼女の影が揺れ動き、不安が募る。突然、足音が近づいてきた。彼女は立ち止まり、周囲を見渡すが、誰も見えない。ただ、落ち葉を踏む音と、枝の折れる音が聞こえてくるだけだった。鼓動が高鳴る。
「キャー」
喜びのあまり、彼女は思わず叫んだ。目の前にいたのは少女の愛犬ムギだった。ムギの姿を見つけた瞬間、彼女はほっとして泣きそうになった。ムギは尻尾を振りながら少女の方に駆け寄り、嬉しそうに少女の顔を舐めた。そして、ムギは先導するように歩き始めた。少女はムギを追い続け、やっと家の明かりが見える場所にたどり着いた。
その夜、彼女はムギと一緒にベッドに入った。彼女はムギを抱きしめながら、眠りについた。ムギは彼女の温もりを感じながら、ゆっくりと目を閉じた。