トランプ氏、就任初日から関税徴収を強化
2025年1月14日、アメリカ合衆国の次期大統領ドナルド・トランプ氏は、新たに「外国収入局」を設立する計画を発表しました。この新機関は、関税および外国との取引に関連する収入を徴収することを目的としています。この発表は、トランプ氏が選挙キャンペーン中に掲げた主要公約の一つである「新たな関税の導入」を支持するものであり、1月20日の大統領就任日から即座に実行に移すとされています。
トランプ氏は自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」で次のように宣言しました。
「アメリカとの貿易で利益を得ている者たちから正当な負担を支払わせる。2025年1月20日は、外国収入局が設立される記念すべき日となるだろう。」
しかしながら、トランプ氏はこの「外国収入局」の具体的な仕組みや、その設立が新しい政府機関の創設を伴うものなのか、あるいは既存の組織の再構築なのかについては明言しませんでした。
民主党や専門家による批判と懐疑の声
この発表に対し、民主党や政策専門家たちからは懐疑的な意見が相次ぎました。
民主党のリチャード・ニール下院歳入委員会委員は、トランプ氏の今回の提案を過去の「曖昧な政策」と比較し、「計画ではなく、ただの概念だ」と皮肉を述べました。
現在、アメリカの関税は税関国境保護局(CBP)が徴収し、その収入は財務省の一般勘定に組み込まれています。しかし、関税収入が連邦政府の総収入に占める割合はわずか2%未満であり、その実効性については疑問の声が多く挙がっています。
専門家たちの分析:既存の仕組みの重複か?
複数の専門家は、既にCBPが関税を管理している現行システムがある中で、「外国収入局」の設立は政府機能の重複に過ぎないと指摘しています。この徴収体制は、初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンの時代から続くもので、歴史的にも確立された仕組みです。
マンハッタン研究所のシニアフェローであり、元上院財務委員会顧問のブライアン・リードル氏は、この提案について「政府の既存機能を無駄に複製するものであり、単なる『ブランディング戦略』だ」と述べました。
さらに、バイデン政権で財務省の顧問を務めたアーニー・テデスチ氏は、「新機関を設立するには議会の承認が必要であり、実際に関税の徴収体制が大きく変わる可能性は低い」と説明しました。彼は、最終的に現在のCBPが引き続きこの役割を担うだろうと予測しています。
結論:野心的な計画か、それとも実行性の乏しいアイデアか?
トランプ氏の発表は、貿易や関税を次期政権の重要な政策ツールとして位置づける姿勢を鮮明にしています。しかし、この計画には法的障壁が立ちはだかるだけでなく、新機関の必要性や実効性についても多くの疑問が寄せられています。「外国収入局」が実現可能な政策なのか、それとも一時的な注目を集めるためのアイデアに過ぎないのか――その答えは今後の展開次第です。
怜音 カルロス