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彼は矢場とんとともに現れた

たぶん、隣の席に座るだろう。なんとなく確信した。
数秒後、私の隣席に彼は腰かけた。
場所は新幹線指定席車内。のぼりの名古屋駅を出発したところである。
私はあまり新幹線が好きではない。グリーンに乗りたい。なぜならシートがかなり独立しているから。
彼はミチミチしていた。ジーパンが。
体は中肉中背というか、たっぷりしている。
たぶん2年後くらいに爆発的に太るタイプと見受けられる。
恐らく、恐らく、20代後半。脂っぽいかんじだ。

うわーーー人間の容積でかいタイプじゃないか・・・容積が大きいと押されるんだよな。と私は覚悟して彼が矢場とんを開けるのを横目で見ていた。
食事をすると人は仲良くなると心理学的には言うそうだ。
それは食べるという行為自体が弱みを見せる行為だからだそうである。
なので、人間性が如実に出る。
その弁当は名古屋駅で販売されている、わらじとんかつ弁当だと見受けられる・・・1351kcalだッ!犬食いに近い・・・!久しぶりにこんな食い方するやつ見たな・・・と少し感心するくらい食い汚かった。たぶん彼は男社会で生きてきたんだろうな、と思った。脳に素直に生きてきたんだろうな。
君、恐らく2年後にはたぷたぷに、なるぜ・・・
しかし、彼も気がついているのであろう。ヘルシア緑茶を飲んでいた。
散見されるデブのラッパ飲みを行っていた。
ちなみにデブのラッパ飲みとは口の中のもの逆流するくらい吸引する飲み方である。回し飲みしたら内容物が入っていて、カロリーを取らされるという攻撃力を持つ。
だめだよ、君、形から入っちゃ・・・。まだ君は戻れるよ・・・!と心の中で思いつつ、生活習慣は体に反映されるのだ。とふと思う。
若いときは結構何してもいい。体自体の自浄作用というか、なんかいろいろ生きてていい状態なのだ。
でも、もう40歳以上のことを考えて人間は設計されていないと思う。
そのあたりからは努力が勝つのかもしれない。(遺伝的要因もあるだろうけど。)なのでその年齢以上の人が体型をキープしていたり、身体能力が高かったりするととても好感度があがるのである。
ただ、ちょっと矢場とんを久々に食べたい自分もいる。




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