018 庭のメンテナンス
デボンは冬になり、来年の春まで庭作業はしばらくお休みとなる。お休みと言っても、冬は風が強く小枝が落ちたり、大雨のため洪水となり、いろいろなものが庭に流されて来る。そういったものを片付けるのも大切な仕事だ。とにかく雨が多く降るので、長靴とレインコートは欠かせない。幸いにも芝生の伸びもほとんど止まるので、芝刈りからは解放される。
庭はワイフのジルと2人で使っている。野菜作りはそれぞれに自分の好きな野菜を育てているが、庭のメンテナンスに関しては手分けをして管理している。私の担当は、芝刈り、樹木の小枝切り、生け垣の刈り込み、モグラ対策(別項)、リンゴの木の剪定、庭小屋の修理とかいろいろある。ジルは庭にいつも花が咲いているように花壇や庭小屋の周辺、川沿いにいろいろな花を植えている。
夏の間は芝生の伸びが早く、10日から2週間に一度ぐらいの割で芝刈りをしないと、草ぼうぼうといった感じになってしまう。私はエンジンの付いた芝刈り機を使っているが、芝生が伸びてしまうと機械の高さを調整して刈るが、それでも間に合わない時には草刈りストリマー(strimmer)を使わなければならないことになる。
生垣の刈り込みも大変な仕事だ。わが家の生垣は主にサンザシ(hauthorn)のブッシュで出来ているが、年に一度秋に刈り込みをしないとどんどん伸びてしまい大木となってしまう。秋に刈り込むというのは理由があって、春から秋にかけて小鳥が生垣の中に巣を作り子育てをするので、その邪魔をしないようにするためである。我が家の生垣にもミソサザイ(wren)やシジュウカラ(blue titsやgreat tits)、コマドリ(robin)等が毎年巣を作っている。ヘッジカッター(hedge cutter)という刈り込み機を使っているが、生垣は合わせて40メートルぐらいの長さがあるので前部と後部、そして上部と3面の刈り込みをするので大仕事だ。しかもサンザシには鋭い棘があるので、革製の分厚い手袋をして挑戦するが、それでも刺されていつも悲鳴を上げている。
庭の先に流れている小川には両岸にオルダー(alder=ハンノキ)の大木が列を作って生えている。前の所有者がその大木の上の方にツリーハウスを作っていた。ほとんど使っていなかったらしく、木は腐っていて登るための縄梯子もボロボロになっている。縄梯子の登り口付近は雑草がぼうぼうと伸びており、そばにも近づけない様相を呈している。危ないのと見栄えが悪いので取り片づけることにした。
専門家に頼んで、まず長い梯子に登って上部の板の部分を外し、次に縄梯子をはずした。あとは地面の雑草を取り除くだけとなったが、雑草を取り除いて見たら、そこから形の良い3つの大きな岩が出てきた。重過ぎてちょっと動かすわけにはいきそうもない。そこで一計を案じて、この岩を使って日本式の庭園を造ってみることにした。狭い場所なので池や築山を作るわけにはいかず、白い砂利を敷いて石庭にすることにした。
3つの岩を中心に楕円形の形に少々掘り下げて、雑草が生えない様にフリースを敷き、周囲にはバンブーで作った柵をめぐらし、ガーデンセンターで購入したマーブルを砕いた玉砂利を敷き詰めた。これで見事にミニ龍安寺が出現した。岩には少々苔が生え、蔦が絡んでそれなりの雰囲気を出してくれている。
ところが、しばらくたつと雑草がフリースを破って生えだし、モグラが土をほじくり返し、雨が多いので砂利石は泥まみれになり、その上、秋になると落ち葉が降り注ぎ、ちょっと目を離していると、どこに日本庭園があるのか分からなくなってしまうのである。これは誤算だった。この日本庭園のメンテナンスに大変時間を取られるようになった。常に雑草を抜き、モグラの山を崩し、落ち葉や枯れ枝を取り除く作業を強いられているし、その上年に一度は砂利を全部取り出して水で洗い、地面を新たに掘り下げて平らにし、新しいフリースを敷き替えて砂利を戻す作業をせざるを得ない。
それやこれやで庭のメンテナンスは大変だが、それなりに自然に接し、良い運動になるので結構楽しんでいる。(以下続く)