スパイダープラス
建設業界はマーケット規模拡大余地がありながら、人手不足という問題を抱えており、他業界と比較しても顕著である。残業時間が多く、2024年度からは規制が適用される。
DXに取り組んでいる企業は多いが、残業規制に対応できている企業は少ない。
【スパイダープラス】
・Saas事業
建設dxというとANDPADやarentなど様々な競合のいる業界であり、似たような製品は多く存在する。私の印象では、スパイダープラスは『現場特化』こそが魅力であると考える。
他社製品にみられる製品には案件管理やスケジュール管理、出勤確認、採算計算は多くある。これらは建設業だけでなく他の業界でも転用できるものであるためマーケット規模は大きいというメリットがあるが、MicrosoftやGoogleなどで十分に代用できてしまうという特徴がある。そんな中、S+は現場監督が実際に行う業務をサポートする機能が豊富であり、製品が現場で直接的に戦力となっている点が大きなメリットである。現場における長年の経験者だからこそ作り上げることができたのだろうと思う。機能は多く便利な製品であるが、既に別の製品を導入している企業では、導入への敷居が高い。切り替えコストや教育の手間などを考えると、強い営業力がないとなかなか採用してくれない場面はあるだろう。その点をどのように取り組んでいるのか気になる部分である。
・財務、増資の可能性
自己資本比率は76,8%であり、ベンチャー企業ではあるがまず倒産はしないだろう。また、流動負債は約10億円あるが、当座貸越等の融資枠が14億5千万円あるため必要なら借入できるだろう。(2023年9月末時点)
また、ネットキャッシュは29億円あるため、仮に2024年の純損失が昨年の3倍になったとしても大丈夫。かなり大雑把な計算で見落としもあるかもしれないが間違っていたら指摘してほしい。
もしも増資する可能性があるとしたら、それはM&Aの場合だろう。既存事業への相乗効果が大きく見込める時にはあらゆる手段でもって買収へ動くことが予想される。
ちなみに銀行との契約により、
「純資産は10億円以上」「(現預金+運転資金)ー流動負債≧0」この2点を満たせない場合は直ちに借金を返済することになる。
【黒字転換と株価】
社長の発言より、2025年度通期予想で黒字転換が有力である。2024年は転換期であるためSaas拡販に注力することにより、投資金額が増加し利益は微増に留まると考えられる。黒字だけを求めれば2024年でも十分に達成可能であるが、今後の成長鈍化につながるためぜひとも稼いだ利益は広告宣伝や営業等に使っていただきたい。
年初は2024年問題がマスコミによりクローズアップされることでスパイダープラスも注目されることと思われる。しかし、決算発表は短期勢が喜ぶような内容にはなりにくく、堅調な事業が確認できるだけだろう。株価は横ばいで推移するのではないだろうか。
また、日銀の利上げにより2か月くらいは600円前後で推移する期間が発生するかもしれない。しかし、財務健全性を考慮すると、利上げの影響は軽微であり、株価は元に戻るだろう。
株価の先行性を考慮すると2024年秋ごろには株価は上昇していくと考えられる。早ければ3Qで黒字転換することも考えられるが、そうなればサプライズとなることが予想される。
簡単であるが現在の認識はこんな感じ。自分の分析は浅く、文章化するとそれを強く実感する。早くだれかアナリストレポートを発表してほしいところ。