日記#14

太陽の日と月の日がある
自分で輝ける日と、何かに頼らないと輝けない日。肉体が光を隠してしまうけれど。
今日は月の日だった。

あまりの神経衰弱にnoteに日記を書くのは止そうと思ったけれど結局、書かないと落ち着かないからこうして書いてしまっている。
もう23時。
いつも日記を書く時は、起きた時に1、2行書き、続きの文は夕方や夜に1日を振り返りながら書くけれど今日は殆どずっと寝ていたから振り返っても記憶の道が短すぎて書けるものが限られている。
昨日と今日は何故か眠っても眠っても、ずっと眠く、飯を食った後は必ず意識が飛んでいった。夢は見ていたけれど忘れてしまった。
寝ているだけの1日なんだから、夢で見たことで今日の穴埋めをしたく、必死に思い出そうとしたけど学校の教室に机があった事ぐらいしか思い出せない。
いつもは芋づる式に一つ思い出せば、他の夢の記憶もズルズルと思い出す筈なんだけれど。
けれど、考えても思い出せない事は仕方ないので変なことに頭を使うのは辞めておこう。
今からでもできる1日を満足させられる事、にシフトチェンジしよう。
まずは風呂から入って、その後は散歩かな。
散歩した後は映画や読書を楽しんで、その後に妄想に耽るのも良い。
駄目だ。今日はそんな事できる時間は無い。
何故なら午前中から精神科の予約を入れてるからね。
今日を満足させる為だけに明日の精神科を取り消したら、明日の自分になんて罵倒されるか。
とりあえず、風呂にだけは入らないと上と同様に罵倒されるから入っておくか。
毎回、今日の自分より明日の自分は短気で面倒くさい。本当に困ったものだ。
明日になれば昨日の自分の悪口大会でもしてるんだろうね。

ふと目線を窓際にやったら、豆苗が凄い速度で成長している。ヒョロヒョロで弱っちそうなのに案外頼もしい。
1、2番を争う背の高い者達に負けじと他の中くらいの者達が追いつかんと必死に全身を伸ばしている。
1つぐらい諦めて、へこたれているヤツを見つけ出し嘲笑ってやろうと思ったけど見つかんなかった。よく考えたら居るんだけどね、そこでじっくり観察し、仲間探ししている誰かさん。


風呂から出た私は落ちぶれたスターになった。さっきまでは風呂のステージに上がり、壁の水滴たちは私を照らす照明に、シャンプーやボディソープ達は楽器隊とコーラス隊に、湯気は観客達に、そしてシャワーはスターの私だけが持てる特別なマイクになった。
そこに居る真っ裸の人間はジュリーや中森明菜よりも一層輝くスターになっていた。
歌う曲はカバーばかりだけれど誰もその事には気づかない。スターすらも気づかずに歌う。
そうして歌い終えたスターは浴槽の楽屋に戻り、自分の体を眺めていた。
足を見ていたら足の裏が気になったので触れてみたらザラリ。
なんて事だ。足の皮がふにゃふにゃ浮いて徐々に剥けてきている。これはバレてしまえばスター陥落である。スターは足の裏さえもツルピカでないといけないのに。
私は誰にも見つからないように早々に剥き始めた。が、ばれてしまった。
熱狂的な湯気(観客)の一部に見られてしまった。
一気に換気扇の出口へと向かう観客達。
このスキャンダルは一気に皆の耳に届いた。
もうキラキラ輝く照明も、楽器隊も、コーラス隊も、特別なマイクも呆れて元の物に戻ってしまった。
完全に取り残されたスターはこの悲劇をただ受け入れた。
そして一曲、特別なマイクではなく、ただのシャワーで悲しい歌だけ歌う。観客はもう1人も
居ないけれど。

なんて妄想をしていたけれど、洗面台の鏡に目を覚させられた。目をばっちり合わせている人間はスターなんかとは程遠い、ただ、だらしのない身体をした真っ裸の人間だった。

なんだか小っ恥ずかしくなってきたので、画面に映る本物のスター達にこのどうでも良い恥ずかしさを掻き消して貰いながら、今日は寝ようと思う。
懲りない人間だから、夢ではもっとマシなスターになってみせるよ。

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