問題が問題
ある日、テスト前に数学の宿題をしていた太郎は、問題に四苦八苦していた。紙に何度も書き直し、消しゴムのかすが山ほど出たが、答えは一向に出ない。
ついにイライラが頂点に達した太郎は、大声で叫んだ。「この問題、おかしいんだよ!答えが出ないのは問題のせいだ!」
その声を聞いた母親が、ゆっくりと部屋に入ってきた。「それって本当に問題のせいかしら?」と、優しく言いながら問題を覗き込んだ。
「絶対そうだよ!だって何回計算しても間違うし、もうこれ以上やっても無理!」太郎は憤慨して、ペンを机に叩きつけた。
母親はしばらく問題を見つめた後、ニヤリと笑って言った。「じゃあ、その『悪い問題』をちょっと貸してみて。お母さんも少し見てみるから。」
太郎は渋々問題を差し出すと、母親はサラサラと計算を始め、すぐに答えを出した。「ほら、できたよ。問題は悪くないみたいね。」
太郎は驚いて母親を見上げた。「うそ…なんでそんなに簡単にできるの?」
母親は微笑んで、頭を撫でながら言った。「まあ、次からは問題のせいにする前に、自分の計算をもう一度見直してみるのがいいかもね。」
太郎はうつむいてブツブツ言いながらも、内心少し反省し始めた。しかし、最後に一言だけ、「でもやっぱり、ちょっとだけ問題のせいもあるかもね…」とつぶやくのだった。
母親はそれを聞いて、苦笑いを浮かべた。「問題も困ってるわね。」