見出し画像

バーストゾーンを読んで

久しぶりに作家の執念を感じられる作品に出会った。
それは吉村万壱さんの
バーストゾーン・爆裂地区
である。

小説家にとって自分の描いた作品は我が子のようなものである。我々も我が子に望むように小説家も自らの子供たる作品たちは美しく綺麗であることを望んでいる。
しかし、この本は決して美しい子供ではない。赤子のように無垢で純粋な可愛らしさなど微塵も含まない小説である。作中でも出てくる例えだが、みるに耐えない醜いアヒルの小説である。作者がこの小説を描くのには大変な苦労が伴ったことだろう。

生臭い生を異化せずに身近に感じさせようという作家さんの執念を是非皆さんにも感じてもらえたらと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?