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裏口の陰影

内田 「裏口ってなんだかロマンない?

河原 「いや、そんなに。

新井 「用があって行くくらいで、自分から進んで行く事はないかな。

内田 「だからこそ、特別感がありません?!裏口から逃げろ!とか、見ちゃいけない取引を目撃しちゃったりとか。

河原 「映画の見過ぎだろ。

新井 「そういう意味では、物語が展開しそうな感じで良いな。

内田 「正面では分からなかった、裏の顔が裏口で見えてくると思うんですよね。

新井 「中華レストランが実はチャイニーズマフィアの総本店だったみたいな。

内田 「あるある!ジャッキーチェンでそんなの観た。でも、物騒な感じじゃなくても、裏でたばこ吸ってる人とかみるとかっこいいななんて思っちゃいます。吸わないけど。

新井 「この前、船橋あたりで飲みに行った時、裏階段でたばこ吸ってるお姉さん、かっこよかったな。

内田 「かっこいい、それ。ほんとに。

新井 「オモテの繁華街と相まって、すっごくクールで。

内田 「長くて細いたばこであれ。

河原 「俺のイメージだけど、裏口ってゴミ箱とか空き瓶を置いておくだとか、バイトでの片付けのイメージしかないな…。早くオモテ戻んなきゃって思ってた。でもたばこ吸うまでにはいかないけど、ほっとする感じは分からんでもないな。先輩からの抑圧から解放されるから笑。

新井 「河原さんってすごく居酒屋似合いますね笑。

河原 「実際、バイトは居酒屋だったな笑。

内田 「その裏口でほっとする感じ、いいなって思いませんでしたか?暗くて狭くて…。

河原 「暗くてだと、夜限定になってこないか?

内田 「私はそんなことないですね。お昼の裏口は時間が止まってるんです。

河原 「どういうこと?

内田 「午後の暇な時に裏口出て下さい。

河原 「午後の暇な時に?裏口に出たら何があるんだ?

内田 「何もないんです。それが良いんです。裏口に出た瞬間、オモテの世界とは違う静かな時間が流れるんです。誰も気にしない、誰もいない、ただ風と音だけ。

新井 「ずいぶんと幻想的だな。

河原 「まあ、確かにバイト中とか、裏に行くと少し静かになる時あるよな。でも時間が止まるって感覚はわかんねぇな。

内田 「それは、きっとまだちゃんと感じてないんですよ。裏口に立って、深呼吸してみてください。まるで違う世界にいるような感覚になるんです。

新井 「でも、それって場所によらない?裏口がオモテの喧騒から完全に遮断されてる場所なら、そういう静けさを感じられるけども。

河原 「俺は正直、裏口に出たらすぐ戻りたくなるけどね。なんか、店が忙しそうだとか気になって、早くオモテに戻りたくなるな。

内田 「その二面性が良いんですよ!その一瞬の「ここにしかない」感じが特別なんです。オモテに戻ればすぐに賑やかな世界が待ってる。でもその裏に、誰も知らない静かな場所があるって、なんかロマン感じません?

新井 「確かに…さっき言った裏口でタバコ吸ってる人とか、なんか知らないドラマがありそうだよな。誰にも見られてない影にいるからこそ、自分だけの時間を持ってるっていう。

河原 「そんなにドラマ感じるか?俺は裏口にゴミ袋を出しに行かなきゃとしか考えたことないんだけど。

内田 「だから、まだわかってないんですよ。裏口には表じゃ見えない“裏の世界”があるんです。表で忙しそうにしてる人たちが、裏で一息ついてて、知らない顔がそこにある。そのギャップがたまらなく良いんです。

新井 「なるほど。誰も気づかない影に良さがあるってことか?そういう裏表に惹かれるのも分かるかもな。

河原 「俺にはやっぱりまだピンとこないけど、暇な時に裏口出てみて、何か感じ取れるか試してみるよ。

内田 「ぜひ!裏口の良さを知ったら、きっとハマりますよ。

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