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【詩】倒木

多幸感が多くの罠の
触手を持つように
網目の裾野では
肌合いの待つ季節に
身を寄せて生きること

横たわる木を見つめる
後悔の下半分
ぼくらは日常を送りながら
遠いところに行ってしまう

黄昏の陽に晒され
風を受け雪を纏い
日々に沈む その姿を

もはや巡っているのか
いないのかとか
時を経て朽ち
朽ちてゆく

なつかしさの渡る橋を越える頃
想いは空に向かってゆく
理解の及ばない空でさえ輝きに満ちて
ぼくらの姿に影をつける

膨らみ始めた言霊の蕾の先を思うのは
そのかたちさえ過去のシルエットを
滲ませているから

年輪が静かに水を吸い上げてゆく

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