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【詩】いっそ棒になりたかった

足からでなく
生まれた

すぐに歩いたり
走ったりするためでなく
考えるために
それとも悩むために

私は
生物であり、動物であり
人間であるわけだが
他の生き物を捕食して
栄養をとり生きている
頭から生まれた
もの

まず最初に
呼吸を確保するために

悩むのはその次に
食べるのはその次に
歩くのはその次に

新しい世界に
生まれ出たものの
そのしるしとして
大声で泣いたのだろう

だからと言って
すぐに悩めたわけではない
すぐに歩けたわけでもない

誇れることなど何一つなく
醜い姿のまま
老いてゆく今がある

命から剥がれてゆく日々
命を剥がしてゆく日々

いっそ棒にでもなれれば
あとも先も上も下もなくなるのだが
そんな不遜な許されざる傲慢を
頭の重しにして
か細い足で支えてゆく

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