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【詩】境界(ボーダー)
ネズミのためのちいさな銃声が
伸びた爪を仕舞い込む
一筋の線で辿った弾道は
不意打ちを喰らった甘噛みの犬歯のように
部屋の隅で静かに成長する
魂が得体の知れない大きさと比べられ
立ち上がった白いスクリーンの中では
浅黒い顔のセンチメンタルが
満面の笑みでその瞳に夕陽を映している
半透明の嫉妬が
湿度100%の袋小路で花開く
すでに水菓子は腐乱臭を放ち
戯れに悲しんで崩れ去る
隠し通した秘密を
更に隠すために
眼は耳として
鼻は舌として
耳は喉として
嘘の夜が秒針の間に
古びた藍のインキのように溶け出している
待っていた木の葉模様の木乃伊たち
糸くずや塵埃が弾道との際で
愛おしきひかりとして舞う