【詩】鏡の向こうの部屋
恋愛論も感情論も
当たり障りのない脳の洪水
首を絞めてみて
手でよりも
その紐で
上手くいったら
声高にあやとりしてる
紐の行方を追いかけて
はずした時間
私が
指先で押したあなたの頬は
思っていたよりも柔らかかった
窪みの中に
人間探しを準備して
彷徨って
嘘のように
思えて仕方がないくせに
信じ続けているのは
一人ではなく
二人、あるいはそれ以上に
多く見えてる、ここにいるから
自らの存在を緑の仮想現実に
依存すれば、心よき風が
自身の罪のために
硬化した崩れてゆく
剥がれゆく二重螺旋
なくてもいい
あったとしても気にならない
それがなくてもこまらない
悲しみは
怒りと共に声を発するはず
ふたつある鍵のどちらを使うのか
赤い風が青い風が
緑の世界で吹き荒れるまま
側面という正面であって
数十本の手脚を持つ
切り取られたその先に痛みだけが残る
初めから決められたことなどない
運命なんて
指先に力を込め
向こうの部屋へ
重たい時間を押し戻す
雫状の鏡面にさえ
言葉が宿るのか
ないものにあるものを見る
映っているものは
そのどちら?