【詩】消えゆくからこそ尊い
わたしには欠けている部分があり
ともするとそれは全体であるのだが
ひとつの人格でありたいと言う願いとともに
比喩的に言うならば壊れ続ける風車のよう
まだらの縞の舌を持ち
ひとつの眼球の中に複数の瞳を忍ばせる
そんな具合にわたしを嗅ぎつけ
そんな具合にあなたに聞き耳を立てる
殊更にそれを人づきあいの極意のように言ってみても
孤独が癒やされることはない
信じるために生まれてきたわけじゃない
信じるために生まれてきたわけじゃない
泣く泣く流し続けた汗の
いつまでも残り続けているからこその残滓
時の風の風下に
わたしの居場所があるのかしら
儚く消えてゆくからこそ
そしてそれさえも
朧げな夢の漂い
わたしに関わらないすべての切片の
信じ難い信頼性が虚空の先で渦を巻き
蒼い蜜蝋が調に乗って
生じてくる内部とか
外部とかいう物語
も消えてゆく