【詩】イミテーションダミー
ⅰ
目をつむった人たちが
ならんで立っている
何かの罰を受けているように
静寂が拡がる
見ることは暴力だ
聞くことは猜疑であり
話すことは欺瞞だ
誰かが
目や耳や口の代わりになるものを
探している
ⅱ
人が道を歩いている
何処か目的地に向かって歩いているのだ
私も歩いている
すると
人とすれ違ったりする
あるいは前をゆく人を追い越したり
追い越されたりもする
不思議に思えてくる
とても不思議な光景に思えてくる
人が道を歩く
歩いている
ⅲ
なりたかったものになれなかった後悔と
なりたくなかったものになってゆく後悔
どちらを嘘で葬り去るのか
取り返したいものがあるからここにいたのに
代替品は代替品でしかなかった
私が道を歩いていたなんて
嘘に決まっているだろ
異形のものや
似て非なるもの
それらを自分の代わりのものとするために
自分が逃げてゆく
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