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【詩】主(あるじ)、そして分断

静かな透明の濁りで
孤独の木よ
あなたは成長するのか

その道行みちゆきで出会うのは
排除されるものたち
葉を落とし
花を落とし
もしくは実を落とし
黒犬の瞳のような濡れた哀しみの中で
ふくよかな天を目指すのではなく
ただ
陽のもとへと向かう

沈黙のまま
排除されたものは
流れゆく星屑となり
見知らぬものたちの血となり
肉、ふくらまされた感冒の黎明となる

ノットリアリィさようなら
誰にも告げず 明け方
立ち去る者
指先のしびれに後悔が宿る
ミシンの先の停留所へ
清廉潔白の証、傷跡のように

その一歩一歩が
見知らぬ土地を踏み締める時
ラクダの形で給仕する
満腹の水に溺れる

切り裂かれた名前にしがみつく
藍色のなみだ
なみだは葉を落とし
花を落とし
さようならに帰るために

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