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【詩】虚空にて

同じもののゆらめきではない
違うものの連なりでもなく
自らがその原因であり
結果であるところのものが
無作為な規則性をエネルギーに
動きまわる
不規則なその実態とは
かりそめに
先端は自由過ぎず
語るべき冷淡などと
言われ、むしろ
映し出された影かも知れず
それは明らかに死から
はじまったのだ

脱皮、粘着、耳鳴り、醜さ
それぞれに
忍耐の隙間から漏れ出る
閉じられたさま
交互に訪れるのだが
思索や思考といった
数限りない細切れが
許されざる範囲にまで
破壊の重さとなり
眼差し、吐息、微笑、ささやき
音として立ち上がる

だからこそ
薄紅うすくれないの泪の中に
かすかな喜びを感じ
逃れゆく夕暮れの闇に
嘔吐する妊婦のように
かんばしい何もかもが
じりじりと
上を上ではなく
下を下ではなく
熱さと冷たさに
許可を与えた

人は人として取り囲む
投影することの是非しかり
吸着のしぐさのままの空虚
愛のまかり通ること

かたちとしてあるべきか
いのちとしてあるべきか

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