【詩】パズルの不可知論
珊瑚の産卵のように
ジグソーのピースを放ち
集める 最初は
小さいもの 微かなもの
明日の昨日に呼び出される
分裂でも複製でもなく
隠された鍵のように合わせていけば
最後に残ったピースがわたしだとしても
つなぎ合わせてみる切片であり
増えることのできない全体
風の行き先や波の行方
薔薇の花の寿命
生まれたばかりの記憶と
心なしか赤みを帯びた頬に
ただ時間を見るような
接合と分離を試しては
いつの間にか生まれた突起と
濡れている凹みに
合わせられ組みこまれて
言葉を持たなくなる
知っていたことを忘れる
知らないことで忘れているままなのも
実のない生態につなげてみるように
全てが揃ったからといって満たされることもなく
足りないからと探し続けることもない
小さなものが視線になり
微かなものがこだわりになるよう
携えて時を訪ねる
あらかじめ決められた世界が
なぞられる