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ガハハ先生ー人口減少と食料問題#3/5

(3)農業者の数が減ることの意味
ガハハ:国内の農業者の減少が、直ちに農産物供給の減少につながるのか。デモネさんが問題提起してくれたね。

デモネ:私も、現在の農業生産の現場が担い手の不足で大変な状況だということは知っています。他方で、農業者一人当たりの経営規模を大きくして、コストを下げ、競争力を高めることが重要なテーマだし、スマート農業で作業効率を高め、より少ない人手での生産を可能にしようとしていますよね。程度問題なのでしょうが、農業者が増えれば増えるほど良いということではない気がするんです。

ガハハ:農業の体質を強化する方向性から言うと、農業者の減少はマイナスばかりではないという意見だよね。なるほど君は、不満そうだね。

なるほど:規模拡大して、ホントにコストが下がる状況なのか。スマート農業で機械導入して、その投資を回収できるのか。…といった疑問があります。そもそも生産した物が一定価格以上で売れないと収益があがらない。儲からないのでは農業者は減るし、農産物の供給も減ってしまうという話に対して、体質強化をすれば、生産物の価格が低くても大丈夫という話をするのでは、堂々巡りに陥ってしまいませんか。

デモネ:だからこそ、高付加価値化を進める対策も進められているし、意欲的な農業者に対策を集中して競争力を高めようとしているのよね。それと、これからの世界の人口の増加、耕作可能な土地や水の制約を考えたら、農産物の価格は上がっていかざるを得ないと思うの。相対論だけど、中長期的には、日本の農業の競争力って強くなるはず。降雨量の多さ、土壌の若さなど、放っておくと草木が生えてくるような日本の環境的な強みを指摘する向きもあるわ。実際に、これだけ長期間にわたって、多くの人口を養って来ることが出来た国土は世界でも少ないという話。

なるほど:「中長期的には」って言うけれど、今現在、実際に耕作放棄地の増加が問題になってるよね。「日本の農業の出番だ!」なんて言える頃には、農地も地域特有の農業技術も無くなってしまってるんじゃないのかな。規模拡大のための対策も、効率を高めやすい平地の整備された農地では進んでいるけれど、山奥の条件が悪いところでは、高齢化した農地の持ち主が、耕作をあきらめている状態だし。産業としての効率性を考えると、耕作のメリットが感じられない農地で作付けが行われなくなるのは自然なことなんだろうけど。ほんとにそれで良いのかな。

ガハハ:ずいぶん白熱して来たな。良いぞ、良いぞ。マーケットメカニズムが十分に機能するかどうか、政策対応の必要性を考えるときの根本的な論点だ。ただ、議論の対象をクリアにしておく必要があるように感じるな。農業生産を十把一絡げで議論してしまうと、話が混乱しがちだから、そこを整理しよう。
【#4に続く】

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