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VRChatで英語が話せるようになる? 現実は甘くなかった話③
前回の記事はこちら
TOEIC高得点でも話せない現実
TOEICのスコアは800点を超えた。覚えた実践的なフレーズも増え、覚えた単語数は7,000語を超えている。
それでも、VRChatの英会話ではまったく歯が立たなかった。
そこで、ようやく「話せる英語」には 発音と文法の基礎が不可欠 だと気づいた。
では、どうやって学び直したのか?
今回は、そこから実際に取り組んだ方法について書いていく。
私が重視した3つの基準
今までの経験を踏まえ、いきなり発音や文法に取り組むのはやめた。
これまでの学習は、直感で「必要だ」と思ったことを優先し、取り組みやすい単語やフレーズを中心に勉強してきた。
しかし、それでは遠回りしてしまうことを痛感した。
今回は、まず「正しい道筋」を知ることが大事だと考えた。
YouTubeをはじめ、巷には無数の英語学習メソッドがある。
どれを選ぶべきか? やみくもに試すのは危険だと感じた。
そこで、私は学習法を選ぶための 基準 を明確にすることにした。
講師が日本生まれ・日本育ちであること
私は一般的な日本の教育環境で育ち、中学から英語を学び始めた。
もし講師が 帰国子女・英語圏のハーフ・インターナショナルスクール出身 だった場合、学習プロセスが根本的に異なる可能性がある。
自分と同じ環境で英語を学んだ人のメソッドの方が、再現性が高いと考えた。ネイティブとの英会話の様子を公開していること
英語学習のメソッドを語る講師は多いが、実際に ネイティブと話している動画を公開していない人も多い。
「その学習法が本当に通用するのか?」を確認するために、 講師自身が英語を使っている様子を見られるかどうか を重視した。「たったこれだけで英語ペラペラ」「これで一瞬で聞こえるようになる」系の動画を避ける
これまで何度も 「魔法の学習法」に飛びついては失敗した ことを反省し、今回こそは学習プロセスがぶれないようにすることを決めた。
聞こえのいい宣伝文句よりも、 地道な学習を積み重ねて実力をつける方法を重視 することにした。
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Atsueigoを選び「発音」から学び直すことにした
基準に沿って選んだのは『Atsueigo』 だった。
彼の動画を過去にさかのぼって見てみると、その学習量の凄まじさがよく分かる。
使いすぎてボロボロになった単語帳が、それを物語っていた。
この時点から現在に至るまで、基本的には彼が提唱する英語学習のプロセスに沿って勉強している。
そして、彼の学習プロセス通り まずは「発音」から取り組んだ。
IPAの重要性を知る
教材として選んだのは、彼が販売している 「発音マスタークラス」 の動画
講座。
この講座を何度も視聴し、まず IPA(国際音声記号) の読み方を理解することから始めた。
(例:単語の隣にある banana /bənˈænə/ のような記号)
今までたくさんの単語を覚えてきたが、IPAには何となく敷居の高さを感じて無視していた。
そもそも 「なぜIPAを学ぶ必要があるのか?」 すら理解していなかった。
しかし、それを無視した結果、基礎単語でさえ 正しい音の覚え直し が必要になってしまった。
「もっと早く知っておけばよかった」と後悔したと同時に、この時点でこれを学べて本当に良かったと今は思う。
今では 単語を調べるときは意味と同時にIPAを確認する ことを徹底している。
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発音マスタークラスと内容が重複している部分もあるし無料なのがすごい
発音への意識が変わった
それまでの自分は、 「発音が悪くても、伝わればいい」 という考えだった。
いわゆる サムライEnglish(Janglish) を肯定していた
発音にこだわるより、内容を伝えることの方が大事だと思っていた
世界にはアクセントが強い国がたくさんあるし、日本人も堂々と話せばいいのでは?と思っていた
しかし、この講座を学んで気づいた。
日本語と英語の音は、あまりにもかけ離れている。
確かに、世界には強いアクセントを持つ英語話者は多い。
でも、英語と日本語ほど発音が違う言語の組み合わせは 意外と少ない のではないか?
そして、 発音が悪くて相手に伝わらなかったとき、困るのは自分だ。
発音が悪いと、コミュニケーションがスムーズに進まない
相手が何度も聞き返してくると、会話がぎこちなくなる
正しい音を知らないと、リスニング力にも悪影響を及ぼす
つまり、 発音を学ぶことは「話すため」だけでなく「聞き取るため」にも不可欠 だった。
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VRChatでフェイストラッキングを使って口や表情を動かすテスト
フェイストラッキング技術が進化すれば将来は口の中の動きまで再現され、VRChatで発音に合わせた口の動きが見えるようになるかも?
「文法」も徹底的にやると決めた
発音に続いて、次に取り組んだのは 「文法」 だった。
Atsueigo の学習プロセスでは、「網羅的な文法書を1冊完了すること」 が目標だった。
そこで、選んだのが 『真・英文法大全』 だった。
この文法書を作った 関正生 講師の講座を以前観たことがあり、とても分かりやすかったこと、そして どの文法書よりも分厚い ことが決め手だった。
文法学習から逃げていた過去
これまでにもいくつかの定番文法書を買ってはいた。
『一億人の英文法』
『徹底例解ロイヤル英文法』
『Forest』
『キク英文法』
どれも「これならいけるかも」と思って手をつけたが、結局どれも途中で飽きてやめてしまった。
文法を避けていたのには理由がある。
「ネイティブは文法を勉強しなくても話せるように、自分も英語に触れていれば自然と話せるようになる」 という思い込み
単語をある程度知っていたため、「なんとなくの英語」で会話が成立していた
「This is a pen. なんて誰が使うんだ?」という、日本の英語教育への反発
実践英会話こそが大事! 文法に時間をかけるのは無駄だ、という風潮に流されていた
しかし、それらは ただの言い訳 だったのかもしれない。
・中学2年生から英語についていけなくなった自分を 正当化したかった
・座学で必死に勉強している人よりも、 「実践の英会話だけで話せる方がカッコいい」と思っていた
でも、散々遠回りした今、ようやく気づいた。
「文法から逃げていては、一生なんとなくの英語しか話せない」
そこで、とにかく Atsueigo に従う ことを決め、『真・英文法大全』を徹底的に学ぶことにした。
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後発だからなのか他の文法書の長所をいいとこどりしている
「文法を知識で終わらせない」ための目標
ゴールは、ただ知識として覚えることではなかった。
「真・英文法大全」の内容をすべて理解し、すべての構文で英文を作れるようにする
関係代名詞や分詞構文などの「用語」を覚えるのではなく、実際に例文を作れるようにする
しかし、これが 本当に大変だった。
最初の数ページから、知らないことだらけ。
すべてを覚えるのに 数か月 かかった。
文法を学ぶことで英語の「見え方」が変わった
文法書を終えたとき、明らかに英語の見え方が変わった のを感じた。
X(旧Twitter)や Discord などで英語を見たとき、まず 「この英文はどんな構造になっているか?」 を意識するようになった。
「あぁ、ここまでが主語なんだな」
「あれ、ここって本来は目的語が来るはずだけど、なんでないんだ?」
「あ!省略できるパターンなのか」
文法を理解していなかった頃は、なんとなく「こんな感じかな?」で読んでいた英文が、今では 「どの構造のどのルールに基づいているのか?」 が明確に分かるようになった。
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文法を学んだあとに観たら誰が正しいのかわかった
そして、「文法の基礎を学び直すのは、これで最後だ」と確信できた。
もちろん今でも 「この英文ってなんでこうなるんだ?」 と思うことはある。
しかし、そういうときは 『真・英文法大全』をピンポイントで調べる だけで済むようになった。
もう、英語の基礎をやり直すことはないと確信した。
基礎を終えてもまだ話せるようにはならない
「発音」と「文法」、この二つの基礎を身につけるだけで、半年近くかかった。
もちろん、日中は仕事があるし、ちょうど 転職したばかり で覚えることも多かった。
さらに、結婚したばかりで新生活が始まったタイミング でもあった。
新しい環境に適応しながら、英語学習を同時に進めるのは正直大変だった。
それでも、「発音マスタークラス」と「真・英文法大全」をやり終えたときの達成感はすごかった。
では、この基礎を終えたことで英語が話せるようになったのか?
—— 当然、そんなことはなかった。
なぜなら、これまでの学習はあくまで インプットの強化 だったからだ。
アウトプットはほとんどしていない。
「発音」と「文法」の基礎を学んだことで、知識は確実に増えた。
でも、それだけでは 「実際に話せる」には至らない。
ただし、英語に対する見方は明らかに変わっていた。
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あくまで今までの学習は英語学習の全体像における「基礎」
英語の学習に対する迷いが消えた
Atsueigo というロールモデルを設定したことで、学習方法で迷うことがなくなった
日常的に英語の音や文法を分析する習慣がついた
それまでは、「この勉強方法は本当に正しいのか?」「自分の英語はちゃんと成長しているのか?」と不安に感じることが多かった。
しかし、基礎を終えたことで、「自分の学習が確実に前進している」 という実感が持てるようになった。
また、英語の基礎をしっかり固めたことで、ようやく 「自分は英語中級者だ」と自信を持って言えるようになった。
え、VRChatの話は…?
ここまで読んでくれた方の中には、きっとこう思っている人もいるはず。
「VRChatで英語を学ぶ話じゃなかったの?」「VRChatの話が全く出てこない」
…はい、その通りです。すいません。
でも、よく考えてみてほしい。
VRChatで英語を話せるようになるには、そもそも 話せるだけの基礎 が必要だったんです。
せっかくなので他のVRC英会話イベントも簡単に紹介
でもせっかくなのでVRChatで参加できる英会話イベントを紹介する。
VRChatには 「VRC EN-JP LanguageExchange」 以外にも、毛色が全く異なるさまざまな素晴らしいイベントがある。
ここでは、私が実際に参加したことがあるイベントを簡単に紹介する。
VRCゆったり英会話
英語初心者向けのイベント
講師が英語・日本語ともに堪能なので、困ったときは日本語で質問できる
主催者が率先して「質問があれば会話中でもどんどん遮って聞いてOK」な雰囲気を作ってくれる
Janglish Holidays (ジャンホリ)
資格取得・学習に特化した英語イベント
英検などの資格取得者が多く、実践的なアドバイスがもらえる
学習寄りのイベントなので、TOEICや英検などの試験対策にも有用
(私も最近参加している)
英語初心者向けの「ゆったり英会話」、資格取得を視野に入れた「ジャンホリ」など、目的に応じた選択ができるのが魅力だ。この辺のイベントについてのレビューも今後記事にするかもしれない。
次の記事では
「アウトプットを通じて、英語力はどう変化したのか?」
について詳しく書いていく。