見出し画像

大きくなったら何になりた…かったかな?

どこかで発表される小学生の将来なりたい職業ランキング。
プログラマー、ユーチューバー、パティシエ…。
へぇ〜、なるほど、時代だなぁと感心する。

自分はどうだったか。

ちゃんと質問に答えた記憶があるのは小学校の卒業文集。
なりたい職業の項目に「学校の先生」と書いた。
それを見た母親が驚いていた記憶がある。
驚くのも無理はない。それまでそんな素振りを見せたこともないのだから。それもあたりまえ、先生になりたいとは1ミリも思っていなかったのだ。

ではどうして文集にそう書いたのか。
たぶん、他にこれといった職業を知らなかったからだと思う。今みたいに情報が溢れてた時代ではなかったし。

でも、今思うと、職業として捉えてなかったけどやりたいなぁと思っていたものが2つある。

ひとつは、たい焼き屋さん。
いつも遊ぶ公園のすぐ近くにたい焼き屋さんがあった。大きな窓ガラスのお店で作っているのが外から見える。
あんこが入った一斗缶にグサっと金属の道具(名前がわからない)を突き刺してあんこを抜き取りヘラで高さを整えたら美しい手捌きでたい焼きの生地の上に次々とあんこをのせていく。

アレがやりたい。

窓にへばりついていつも見ていた。ただただその手元を見ていたかった。
もしかしたら、たい焼きが買えない貧しい家の子と思われていたかもしれない。

もうひとつは、看板屋さん。
住んでいた町に小さな映画館があった。
そこで映画を観たことはないから、子ども向けの映画はやっていなかったのかも。むしろ子どもが見ては…(略)。
その映画館の入口の上には、その時に上映している映画の手描きの大きな看板。
塗り替えて新しく描いているのを見る度に憧れた。
まさに職人芸。
絵はもちろんすごいけど自分は文字に惹かれた。

アレが書きたい。

だから中学の美術でレタリングの授業があった時はもうどんなにうれしかったことか。

印刷技術が発達して大きなポスターも作れるようになり、デジタルサイネージなどもある現代、どこかでそういう看板を見られるだろうか。
あの看板を描けるような職人さんはまだどこかにいるのだろうか。


大きくなってから知った職業に校正や校閲がある。
ただの間違い探しとは違う、とても大変なお仕事だと思うが、もし若い頃にこの職業を知ってたらやろうとしてたかもしれない。

今の自分の職業に後悔はない。
でも、可能性がいっぱいあった頃に、世の中にはこんなにたくさんの職業があるんだということを知りたかったなとは思う。

今でも時々思う、
たい焼き屋さん、看板屋さん、やりたかったな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?