剣道具について考える 「くの字オープン型甲手」の問題点
剣道具師の視点から「くの字オープン型甲手」が剣道に及ぼす影響について考える。
今主流となっている親指がつかず、手首の反りをつけているものを「くの字オープン型」と分類する。
剣道家ではなく剣道具師の視点から「くの字オープン型甲手」には、主に以下の問題が発生する。
力みが取れない
構えた時の姿勢が前傾になりやすい
刃筋の通った打突が難しくなる
打つではなく当てるようになる
打突後腕が上がる
左足が跳ねる
肩・肘を痛めやすい
上記の大きな原因を考えると竹刀に対して手を上から被せている事があげられる。
手を上から被せる(特に右手)ことによって、
肩が上がる
腕の可動域が制限される
上半身と下半身の連動が難しくなる
という問題が発生する。
ただ上記の問題は試合の勝敗に影響を及ぼすことはあまりない。
余程のことがなければ、刃筋、打突後のバンザイ、足の裏が見えるような左足の跳ねは試合の有効打突には(個人的見解であるが)考慮されていない様である。
*逆に審査ではそのあたりを注意されることがある
ここまで書いてきた理由から「くの字オープン型」の甲手は、競技者より生涯剣道を目指す愛好家や剣道入門者に対して持続可能な合理的身体操作(脱力を主体とした剣道)を身につける上で問題となる。
自分が理想とする動きに改善していかない場合は道具を見直してみてはどうだろうか?
道具によって自分では意識できない癖がついてしまう事がある。
癖があっても試合で勝てるが、癖は生涯剣道・合理的身体操作を求めていく上では大きな障害となる。
剣道具師としては、生涯剣道・合理的身体操作(脱力を主体とした剣道)を求めて永く剣道を続けてくれる人が増えることを願う。