剣道上達のヒント 剣道具師の視点から「力が入る」を考える 着装編
剣道家の立場からのアドバイスは多々あるのですが、剣道具師の視点からのアドバイスはほとんど無いので、「力が入る」を克服するを考えてみます。
剣道は「心法」「身法」「刀法」の三法から成り立っていますが、その中で剣道用具(竹刀を含む)は「身法」「刀法」に関わっています。そして剣道用具は「力が入る」原因になりうる要素があります。
着装について考える
剣道は基本的に剣道衣・袴・剣道具を身につけて行います。そしてその着装も剣道の一部として考えられています。
では、なぜ着装が剣道の一部と考えられるのか?
それは着装によって身体操作「身法」に影響があるからです。
袴であればどの位置で穿くか、どこで締めるかが大事になってきます。稽古後に衣袴が乱れているようだったら、穿く位置・履き方に問題があって動きに制約がかかってしまっている事が考えられます。
穿く位置が低い場合、蹲踞の時前腿に力がかかって腰が落ちきらなくなり、立ち上がった時少し前がかりの構えになる傾向があります。
また垂を着ける高さにも注意が必要です。
垂の帯は腹帯なので腰骨の上にくるように着けます。そうすることによって腹が締まり腹を固めることができ(相撲のマワシのイメージ)、股関節は十分動かすことができます。
最近は垂を下めに着けている人を多く見かけますが、着ける高さが低いと袴と同じ様に股関節の可動域を狭めてしまう事になり、無理な動きにつながります。また垂を着ける位置が低い場合、蹲踞が空気椅子の様に見える場合があります。
胴の着ける位置と大きさも大事なポイントになりますが、これは別の機会に書きます。
上記の様に着装において、着ける位置が違ったり、着け方が上手くいかないと身体に負担がかかってしまい力んでしまう場合があります。
構えた時に力んでしまう、立ち姿が落ち着かないなどの課題がある人は着装から見直してみると思わぬ気付きがあるかも知れません。