剣道具製作 〜竹屋流梅澤派覚書〜 をなぜ書くのか
剣道具製作過程を書き残す
「剣道具製作〜竹屋流梅澤派覚書〜」
を書いていこうと考えている
何故そんなことを考えたのか、以下に今の考えをまとめてみた
剣道具は剣道の為の道具であり、先人の知恵の結晶である
剣道を正しく伝えていくためには、正しく動くことができる道具が必要である
それを有効・効率的に使うことによって正しく覚えることができるのである
平成の終わり頃から剣道具の構造(形・使い方)に大きな変化(特に甲手)が起こりはじめ、令和になりそれが剣道具の定番となり始めてしまった
剣道具の構造の変化は剣道の変化である
時代と共にデザインやサイズ・素材などが変わっていくように、変化していく方が自然であると考えているが、平成の終わりから今(2024年)にかけての剣道具の変化は剣道の根本に関わる構造の変化であり、決して見過ごしてはいけない変化であると個人的には感じている
具体的には刃筋正しい打突のできない形になってきてしまった
竹刀が発明され剣術から剣道に発展していく中で、道具も工夫され昭和のはじめ頃に竹屋流剣道具の構造は剣道具としての完成に到った
それはどの流派でも大きな違いはなく剣道具の構造として認識されていた
その剣道具からデザインやサイズ等ではなく基礎となる構造が変化してしまった
剣道具の構造の変化が導くもの
見た目は似たようでも構造が変わったということは、道具としての本質が変わったということである
本質の変わった剣道具で覚えられることは、昭和のはじめに考えられていた剣道とは本質的に違うものである
構造の代替わりが起きると、前の構造が駆逐され技術が失われていく
やがてそれはロストテクノロジー化していく
実際剣道においてはかつて使われていた技術(すりあげ、切り落とし、返し等)が滅多にみられなくなってしまっている
また本質の変化の大きな影響は剣道の基礎である剣道形においてみられる
現在のスピーディーでダイナミックな剣道は一見良さそうに見えるが、本当にかつて確立された基礎の上になりたっているか今一度よく検討するべきではないだろうか?
剣道具の変化・剣道の変化をみていると「昭和初期に確立された剣道の構造」が失われるタイムリミットが迫っているように思える
「昭和初期に確立された剣道」を志す剣道家が増えることを願いながら、その剣道家に必要とされる剣道具を製作できるよう「剣道具製作 覚書」を残していこうと思う
私が先人からいただいた知恵の結晶を少しでも後世に繋げられるように
文章と写真で書き残していこうと思う
今、私ができることをしていきたいと考えている