見出し画像

自然と文明のユートピア「野生の島のロズ」

予告編が公開されてから楽しみにしていた「野生の島のロズ」を視聴しました。

期待通りの面白さ!そして映像の美しさ!!
擬人化されたロボットと動物たちが織りなすハートフルSFファンタジーです。
私はこう言うの好きなのでとても癒されましたよ…。

ロボットは環境活動家の夢を見るか?

ロズは不慮の事故で野生の島(もしかしたら野生保護区なのかも?)に不時着した家庭用アシストロボットです。
最新技術を搭載しあらゆるニーズに応えられるよう、ボディもシステムも全て高性能。確かに「一家に一台欲しい家庭用汎用ロボット」といった感じですね。

そのロズが「ガンの雛を育てる過程で自我を会得していく」姿を我々が観賞することによって、「自然の中で自分らしく生きる」自己実現の物語として楽しむことができます。
私もどちらかというと都会でサクセス!より自然の中で豊かな生態系や地球の歴史に思い馳せている方が「自分が満たされていく」感じがあるため、ロズの物語に自分を重ねてしまいとても感動してしまいました。

しかしこれは「ロボットと動物の物語」と言うより、「環境活動家が夢見る世界との関わり方」を擬人化されたロボットを通して楽しむ作品として私は捉えています。

いがみ合う動物たち

ロズが不時着した島には自然豊かな野生の島で、そこにいる動物たちはお互い、食うか食われるかの争いの中で生活しています。
しかし、ロズの献身が彼らに「いがみ合うことをやめて平和的に過ごす」素晴らしさに目覚めさせ、協力し合い困難に立ち向かうことができるようになるのですが。
私は、この姿はむしろ「自然保護区や貴重な野生動物のいる地域にすむ人々との交流」を描いているように感じました。

ロズと1番の友人になるのが島の嫌われ者のチャッカリなところや、キラリが「ロズがいなければお前は大人になれなかった」と言われているところなどすごく「それらしい」。そういった「故郷に馴染めないもの」がロズという新しい”価値観”に触れて「居場所」を会得していく。この過程こそ「自然環境」や「慈善活動」に熱心になる人々の心をくすぐる「ロマン」に溢れていてすごく良いですよね。

正しく、夢見る子供に最適な物語だと思います。

若干皮肉めいた言い方をしてしまうのは現在のアメリカの状況を考えると冷笑的にならざる負えないから、という理由と子供の頃の自分を思い出して少し寂し気持ちになったから、というのがありますね。

大人になると夢を見るのも大変です。

ロズと共に、もう一度夢を見る

ロズは結局自分を製造した工場に戻ることになり、修理を受けることになります。
その際に、ロズのデータはリセットされ、ボディも新しいものになり、「ロズという個人」は消えてしまうように思われたのですが。

一度得た「心」。愛するという心を学んだ「自我」はそう簡単に消滅しませんでした、そこには一縷の希望があります。
大人になり、現実を知り、仕事に追われ毎日電車の中でニュースを追うばかりの毎日でも、愛する気持ちを忘れなけば、忙しさの中に「自分」を無くすことはないのかもしれない。
いつか、子供の頃の「理想」に近づける日が来るのかもしれない。

彼女と一緒にもう一度夢を見る。それはきっと、あなたにとって素晴らしい体験になることでしょう。

おまけ:自然と先住民族への眼差し

ロズの物語が表現しているのは、こういった取り組みに関わる人々への敬意と、その活動が人類全体の利益になるという信頼とロマンなのだろうと思う。



いいなと思ったら応援しよう!