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【原神考察】神の心はイスタロト(パイモン)である


この記事は最新のver4.8を含む、原神の多大なネタバレを含んでいます。


 この記事は、私がホヨラボにて投稿していた記事に手を加えたものになります。



はじめに

 さてはお前、「第三降臨者の遺骨」を持っているな?
 お前たちのよく使う言葉で言うなら、たしか…「神の心」と言ったか。 

スカーク

 フォンテーヌ魔神任務の最後で、神の心は第三降臨者の遺骨であることが明かされました。これをもとに、この記事では第三降臨者が誰であるか考察し、今後の原神がどのように展開されるかを予測しました。普段考察を見ない方でも前提知識なしで読むことができるようまとめたので、是非見ていってくださるとうれしいです。





1.第三降臨者は誰か

 タイトルの時点でネタバレかましてますが、結論としましては第三降臨者は時間の神イスタロトと考えられます。わりかし有名なキャラなので知っている方も多いと思いますが、正確な引用を載せておきます。淵下宮の書籍『日月前事』に詳しく書かれています。

  唯一、我々を見捨てなかったのは、「時間の執政」だった。(中略)我々は彼女を「カイロス」、或いは「不変の世界の統領と執政」と呼んだ。秘密に包まれた真名を口にすることはできない。だからここで、一回だけ、あえて逆に書こう——「トロタスイ」。 

『日月前事』

 「トロタスイ」は逆に書かれた表記なので、反転させて「イスタロト」となりますね。彼女は「時間の執政」であり、時間の権能を司ります。彼女はテイワットに属する存在でありながら、テイワット外へ落ちてしまった淵下宮の民を助けるために一度世界の外へと向かったことがあります。そのため、テイワットに戻ってきた時点で降臨者判定になることも十分考えられます。


 では、なぜイスタロトが「三番目」の降臨者だと考察したのか、以下に根拠を列挙していきます。



2.神の心の生成時

 「神の心は第三降臨者の遺骨」、これには二つの意味があります。一つ目はそのまま「神の心は第三降臨者の体でできている」という意味、もうひとつは「第三降臨者は既に一度亡くなっている」という意味です。


 これを踏まえると、神の心が作られるには第三降臨者の体が必須となります。言い換えれば、神の心ができた時点で第三降臨者は亡くなっていなければなりません。

 では、神の心ができたのはいつでしょうか。


 復讐の大戦において重傷を負い、僭主は機能を損傷し自らの絶対的権威によって、この世界本来の秩序を抑圧する力を失った。憤りや憎しみを良しとしない世界を鎮圧し征服するため、僭主はもう一人の後継者と共に「神の心」を作り出した。

ヌヴィレット 神の目

 ヌヴィレットのキャラストにそれらしいことが書いてあります。「復讐の大戦」ののち、「僭主」は神の心を創りました。これがいつの話かということですが、魔神戦争が起こるよりも前、鍾離先生が生まれているか怪しい時代の話だと思います。


 そもそも「復讐の大戦」がなんなのか、ということですが、これは「龍王」ことニーベルンゲンが帰還した時のことを指します。

「龍王」が世界の外から手に入れた漆黒の力は我らを導き、外来者が定義した秩序に抗う手段になる(中略)空前絶後の戦いがテイワットで繰り広げられた。その悲惨さと言ったら危うく世界全体を崩壊させるところだった。

草龍アペプ


 ナヒーダの伝説任務2で登場した草龍アペプ。この人(?)の発言から、過去に龍王と僭主の間に激戦があったことが窺えます。「僭主」とは「力ずくで王位を奪ったり、分不相応に君主の座に就く者」を意味しますので、外来者でありながらテイワットの主となった「僭主」(別名パネース)が過去に龍王と争ったということになります。

 「龍王」は漆黒の力を用いて戦いました。要はアビスの力のことで、この力は過去の任務でさんざん描写されているように、テイワットを破滅に導く恐るべきものです。漆黒の力について、アペプは次のように述べています。


 「龍王」が逝去された後も、余は局面を逆転させる方法を探すことを諦めなかった。粉々になろうとする世界の境界線でより多くの「禁忌の知識」を得ようとしたが…それもまた天から落とされた巨大な釘によって差し止められた。

草龍アペプ

 ポイントとなるのは「粉々になろうとする世界」というところになります。アペプは「龍王」が亡くなった後、粉々になりそうな世界の境界線で「禁忌の知識」(漆黒の力)を得ようとしたようです。この時、激戦の影響で世界が崩壊しかけていたと考えられます。だからアペプは世界の境界線に近づくことができたのでしょう。


 そして不思議なことに、淵下宮の書籍にも同じようなことが書かれているのです。

 天上から第二の王座が訪れ、創造の始まりを彷彿させる大戦が起ころうとしていた。あの日、空が落ち、大地が割れた。我ら海淵の民の先祖と、彼らが代々住んできた土地は、ここに落ちた。

『日月前事』


 天上から第二の王座「龍王」が訪れ、大戦が起きた結果世界が崩壊しかけ、淵下宮はテイワット外に落ちた。

 淵下宮があの場所に落ちたのは魔神戦争が起こるよりも前、というか魔神すらいない時代のことでした。



 俺は淵下宮に一冊の本を探しに来た。その本には、大日御輿が建てられる前の白夜国のことが記されている。それらの時代を、白夜国の民たちは「日月よりも前のこと」と言う。あの時代、大地には神すらいなく、大陸全土には一つの文明しかなかった。

淵上

 淵下宮の任務「龍蛇洞宮試練記」にて、淵上が明言しています。「日月より前のこと」、つまり書籍『日月前事』の内容は全て、魔神が誕生するよりも前のことを指しているのです。


 長々と説明しましたが、以上の内容から神の心が作られたのは日月前事に記された「龍王」の大戦のあと、魔神がまだ存在していない時代である可能性が非常に高いです。



3.第三降臨者の候補

 魔神のいない時代に神の心が作られたとなれば、第三降臨者の正体を突き止めることは比較的容易ではないでしょうか。


 当時存在していたキャラクターは主に

 ・僭主(パネース)
 ・僭主の影
 ・イスタロト
 ・「龍王」
 ・元素龍たち

 この五者となります。僭主の影ってなんぞやって感じですが、要は僭主の眷属です。ここではあまり重要ではないのでスルーします。気になるよという方は以下の記事を読んでくださるとうれしいな…うれしいな…(宣伝)。


 話を戻して、僭主は神の心を作った張本人ですし、まあいわゆる第一降臨者である可能性が高いので、第三降臨者であるということはまずありえないでしょう。次に元素龍たちですが、数が多すぎるためその中の一頭が第三降臨者であるというのはお話としてぱっとしませんし、それなら「龍王」が第三降臨者であるという説の方が説得力があります。

 「龍王は逝去した」と草龍アペプは言っていましたので、「龍王」の遺骨が神の心になっていてもおかしくありません。加えて、名前からして元素龍たちの王ですから、神の心の器としても申し分ないでしょう。

 元素に対する極めて高い適応力を持ち、ひいては元素力を増幅することさえできる「神の心」の力は、第三降臨者に由来する

ヌヴィレット

 ヌヴィレットもこう言っていますし、第三降臨者は「龍王」ではないでしょうか。


 完璧な理論に見えますが、「第三降臨者は『龍王』である」という説には致命的な矛盾があります。


 それは、アペプとヌヴィレットがそれについて何一つ言及していない点です。年若いヌヴィレットはともかく、「龍王」を知るアペプがそれについてノータッチというのは考えられません。仮説が事実であるとするならば、元素龍たちは「自分たちの王の遺骨を敵の道具に加工され、いいように使われている」ということになってしまい、それは彼らにとってこの上ない屈辱のはずです。仮にその事実を知らなかったとしても、同じ血族の者であればなんとなく感じ取れるものがあると思いますので、描写として不自然だと言わざるを得ません。したがって、「第三降臨者は『龍王』である」という仮説の方に誤りがあると考えられます。


 というわけで、第三降臨者の候補として残るのは僭主の影とイスタロトのみとなります。

 説明を省きますが、僭主の影はイスタロト含め四名なので、実質四択にまで絞り込めました。


 私の仮説だと僭主の影は先代水神エゲリア、花神、天理の調停者、イスタロトです。

 花神が亡くなったのは魔神戦争中、エゲリアが亡くなったのはカーンルイアの厄災後、天理の調停者は未だ存命ですので、一応消去法でイスタロトが第三降臨者ということになります。


 ただ、僭主の影に関する推測が正しい前提での結論になってしまうので、ここでは別のアプローチをしたいと思います。



4.神の心を揃えるとどうなるか

 神の心は遺骨からできているという話をしました。

 キリスト教において、聖人たちの遺骸や遺品は、盛んに崇敬の対象となる重要なものであるといいます。

 これは文字通り、聖人が生前使用していたものや身に着けていたもの、あるいは所縁のあるものや単に遺骸、遺骨なども含まれます。


 同じように考えれば、神の心もある意味これと似たものではないでしょうか。神の心は神々がもちますし、第三降臨者は聖人というか高位の存在ですから、その遺骨というのは同じように崇敬されてしかるべきです。

 氷の女皇が神の心を集めるのはこうした背景もあるのかなと思います。言い換えれば女皇は第三降臨者を崇拝しており、天理とは別の信仰をもつのかもしれません。

 突拍子もない話ですが、上記の「聖人の遺した物、あるいは遺骸」にはちゃんと総称があります。

 聖遺物は、キリスト教の教派、カトリック教会において、イエス・キリストや聖母マリアの遺品、キリストの受難にかかわるもの、また諸聖人の遺骸や遺品をいう。

聖遺物 - Wikipedia


 そう、聖遺物です。これは本来キリスト教の概念であり、クリスチャンにとって重要な意味をもつものです。これに即して考えるならば第三降臨者の遺骨である神の心も聖遺物と言えます。


 強カな能力を持つ宝物。繋がりのある複数の聖遺物が集まると強力な効果が発動できる…

ローディングTips 聖遺物

 聖遺物を揃えれば、特殊なセット効果を発揮できます。


 では、同じく聖遺物である第三降臨者の遺骨(神の心)を揃えると?


 確かなことは言えませんが、第三降臨者の力に即した何かしらの加護を受けられることは間違いないでしょう。あるいは、第三降臨者本人が復活するかもしれません。その辺りについてはっきりしたことは言えませんが、しかし、ファデュイの目的は天理を打倒することだとされています。 


 我が名は「道化」のピエロ
 世界を嘲笑う面を被り、天理を書き換えようではないか。

嗤笑の面

 ならば、神の心を集めて復活する第三降臨者ないしその力は、天理に対抗するのに十分なものであると予測できます。つまり、その力は天理と同等かそれ以上となります。

 神の心が聖遺物だという流れは私の過去記事(【原神】神の目・天理・降臨者。テイワットに隠された真実。|珠兎 (note.com))でも一度触れたので、見たことあるよという方もいらっしゃるかもしれません。



 さて、上記で神の心を揃えると第三降臨者に関する出来事が起こると言いました。

 神の心が最終的に揃うのはナタ編が終わった後です(氷の神の心は既にスネージナヤにあるため)。

 ナタの最終魔神任務名は「灼烈の反魂の詩」、つまり魂の復活ですから、ここで魂を復活させる方法を知れれば、スネージナヤ編で第三降臨者を復活させるストーリーを展開できます。


 戦争の神がこの秘密を旅人に教えたのは、相応の理由があるからだ。

—―ダインスレイヴ

 ダインスレイヴも足跡PVで「この秘密」と言っているので、それはきっと魂を復活させるという禁じ手に関することなのでしょう。


 では、スネージナヤ編で第三降臨者が復活した後は? そこから先は全く予想はつきませんが、ひとつ確定していることがあります。

 足跡PVの大トリ、スネージナヤのあとに示される国が一つだけ存在します。カーンルイア、500年前に滅びた古国です。このPVの通りにストーリーが進むのであれば、スネージナヤの次はカーンルイアに向かうことになります。


 しかし、カーンルイアは滅びています。ということはスネージナヤの後に向かったとしてもそこには何もありません。全ての始まりは「500年前」のカーンルイアなので、真相を知りたければ時空を越えねばなりません。ここでいう「時空を超える」とは、単に視点を移動したりするといったものではなく、世界全体の時間を巻き戻す必要があります。普通に考えてまず無理な話ですが、時間を司る神であれば旅人をカーンルイアに送ることだってきっと可能でしょう。



 テイワットにおける時間の神はイスタロトしかいません。



 ナタ編で神の心が揃い、スネージナヤ編で第三降臨者イスタロトが復活、イスタロトの権能で500年前のカーンルイアに向かう。この一連の流れは、お話として非常に綺麗ではないでしょうか。



5.第三降臨者の復活は確定事項?

  とはいえメタ読みが過ぎますよね。自分で書いてても妥当性に欠けるとは思います。

 ですが第三降臨者自体は必ず復活します。これは確定事項です。その根拠は書籍『プシュパの歌』にあります。

時間がそのものの足元に砂埃を巻き上げても、幾千万年後はまた(…)のまま。人々はやがてそれの(…)を喜ぶ。そのものも必ず彼らのために(…)。

『プシュパの歌』

 伏字が多く内容はさっぱりなのですが、本文中にある補足を交えて読むとこうなります。

時間がそのものの足元に砂埃を巻き上げても、幾千万年後はまた(適切に処分された遺骨)のまま。人々はやがてそれの(帰還/タヒ亡/再生)を喜ぶ。そのものも必ず彼らのために(…)。

 「適切に処分された遺骨」……なんとも意味深です。ちなみに、作中で現在登場している遺骨はドゥリン・エリナス・オロバシ・第三降臨者です。

 夏イベやったあとだとドゥリンかな?とも思いますが、雪山(ドラゴンスパイン)に朽ち捨てられた遺骨は果たして「適切に処分された」と言えるでしょうか。エリナス・オロバシについてもその辺で朽ちてますので同様です。それらよりは、神の心の方が適切に加工されている気がします。というわけで、これは第三降臨者に関する文章と見て良いと思います。

 その遺骨の主は帰還・タヒ亡・再生するようです。この時点で何かしらは復活することが示唆されていますね。


 最後に一番初めの部分についてです。「時間がそのものの足元に砂埃を巻き上げても」とある謎の文章ですが、解釈としては、時間が経って砂が舞い上がり、そのものの足元、つまり足跡に上から砂が被り足跡が消えても=「そのものの辿った歩みや功績が忘れ去られても」ぐらいの意味だと思います。

 皆がその者のことを忘れても、その者はいつか復活する。この者にとって、時間的制約は意味をなさないようです。


 なお、先ほど挙げた文は説明の都合で一部削ってあったので、全文補って読んでみます。 

それは終わりのない知恵であり、(私たち/永遠)の文明を守ったのはそのものである。(…)のように生き返り、(…)のように破滅することはない。
時間がそのものの足元に砂埃を巻き上げても、幾千万年後はまた(適切に処分された遺骨)のまま。人々はやがてそれの(帰還/タヒ亡/再生)を喜ぶ。そのものも必ず彼らのために(…)。

 全体を通して解釈するなら、

「その者は全ての知恵を持ち、かつて存在した永遠の文明を守った。決して消えることなく、必ず生き返る。長い時が経って人々がその者のことを忘れようとも、その者は神の心となりいつか復活する。そのとき、その者もまた人間に力を貸す」

 となるでしょうか。このやり取り自体はマハールッカデヴァータと花神が存在していた時期を想定しているようなので、魔神戦争中だと考えられます。とすると、ここでの「永遠の文明」とは淵上の言う、神がいない時代にあった唯一の国のことだと推測されます。やはりこの者は魔神が生まれるよりも前から存在していたようです。


 ということで、第三降臨者がイスタロトであるかどうかは脇に置いたとしても、第三降臨者は魔神戦争よりも前の時代に存在した人物であり、なおかつこの先復活することは確定と言って良いでしょう。



6.第三降臨者のもう一つの特徴

 さて、ここまでで第三降臨者について次のことが分かりました。

 ①第三降臨者は僭主(パネース)の影四つのうちのどれか、イスタロトの可能性が高い

 ②第三降臨者は魔神戦争よりも昔の時代に生きていて、なんらかの理由で亡くなった人物

 ③第三降臨者はいずれ必ず復活する


 ただし、これまでに書いた中でひとつスルーした第三降臨者の特徴があります。

 元素に対する極めて高い適応力を持ち、ひいては元素力を増幅することさえできる「神の心」の力は、第三降臨者に由来する

ヌヴィレット

 それがこれです。第三降臨者は元素力の申し子と言ってもよいくらい、元素力に対して適性を持っています。

 この特徴について言及がなされたとき、ヌヴィレットとパイモンはまるで旅人の特徴みたいだと発言しました。


 旅人と同じく元素力に適性を持ち、かつ旅人よりも前にテイワットに降り立った人物、それは双子の片割れではないでしょうか。つまり、第三降臨者は旅人の片割れであり、片割れは既に亡くなっていて今いるのは何か別の存在なのでしょうか? 私も魔神任務をプレイしたときはそうかなーと思ったのですが、結論から言うとこれはミスリードだと考えられます。


 その理由は、ヌヴィレットの発言にあります。

 「元素に対する極めて高い適応力を持ち」、ここまでは間違いありません。「ひいては元素力を増幅することさえできる」、旅人がこれまでに元素力を増幅したことがあったでしょうか? 


 私が覚えている限りでは、「旅人は元素力への適性が高い」という描写は各所で見られましたが、元素力を増幅して云々というのは一度もなかったと思います(もしあったら教えてくださるとうれしいです)。


 一方で、イスタロトはそのような描写がちらっとですが存在します。

光界の印:淵下宮の常世大神に認められ、授かった印記。

 もうかなり前になりますが、こちらの印を奉納するイベントがありました。曰く、この印は常世大神が認めた光の証だと言います。詳しい説明は省きますが、常世大神はイスタロトの別名だと説明がされています。


 イスタロトがこの印を授けるということは、イスタロト自身はこの印、つまり「光界」の力を扱えた可能性があります。そしてこの「光界」、これは元素力の荒れ狂う世界のことだとされています。したがって、イスタロトの本質的な力は元素力の奔流だと考えられます。


 そもそも元素って、現在のテイワットでは七つありますが、その根本は全て同じ「元素力」というものであると考えられます。普通は、例えば風キャラなら風粒子、岩キャラなら岩粒子を取得した方が爆発回しやすいですよね。ですが、西風シリーズなんかで出てくる白い粒子、あれは元素の種類に関係なく平等にエネルギーを配るようになっています。

 最初に与えられる元素の形態が炎や氷、雷なので勘違いしてしまいますが、上の性質を考えるともともと最初に「元素力」という力があり、それが七つの種類に分かれて出力されている、すなわち「元素力」という魔力を基に「炎」や「雷」といった媒質を操っていると考える方がむしろ自然です。


 この理論は割と昔から言われていますので、決定的な根拠を貼っておきます。

アチーブメント・虹色

白昼の光は無数の色でできている。しかし一々数えるのが面倒くさいから、人間は7色と決めつけた。元素もきっと同じだろう。

 何かに偏ることのない原初の元素力。イスタロトがそれを扱えるというのなら、「元素力に高い適応力を持ち、元素力を増幅する」力を持っていると考えられます。これは第三降臨者の特徴に合致しますね。


 私がイスタロトを第三降臨者だと考える理由は以上になります。



7.第三降臨者がイスタロトだと説明がつくこと

 結論ありきの話になってしまうので挙げませんでしたが、第三降臨者がイスタロトだと説明がつくことが何個かあります。


 一つ目は雷電将軍の伝説任務2です。あれが全任務中で唯一「イスタロト」の名前が出てきたシーンですが、雷電影の姉・眞は、なぜイスタロトの力を関与させることができたのでしょうか。神の心がイスタロトからできているのだとすれば、その時間の権能を部分的に行使できても不思議ではありません。

 二つ目はスカークです。

 この星の最初の古龍の権能…そこに神の「呪い」にも似たものが加わっている

 神の心を持ったヌヴィレットに対しての発言ですが、古龍の権能はともかく神の「呪い」に似たものとは一体何でしょうか。呪いに似ているということは、天理のもたらす呪いに近いけれど本質的に別物であると考えられます。しかしながら、その源泉は限りなく天理に近い何かということでもあります。それを踏まえると、彼女の話は流れ的に「第三降臨者が天理の関係者」ということを描写しているようにとれるのです。ここまでできちんと説明していなかった気がしますが、イスタロトは天理…というか天空勢力の一員なので、第三降臨者がイスタロトなのであればこの話には筋が通ります。


 三つ目は、過去から現在に至るまでその「名前」がテイワットで誰の口からも出ていないことです。人々から忘れられた神の例として香菱に付き従うグゥオパァーがいますが、その彼でさえ鍾離先生は覚えていました。イスタロトが現在も生きているのだとしたら何かしらの痕跡は残るはずですが、ここまで徹底的に出てこないということは今のテイワットが形作られる前、魔神が生まれる前後に亡くなったからではないかと推測することができます。

 プシュパの歌によれば第三降臨者は忘れられていると先ほど提示しました。

それは終わりのない知恵であり、(私たち/永遠)の文明を守ったのはそのものである。(…)のように生き返り、(…)のように破滅することはない。
時間がそのものの足元に砂埃を巻き上げても、幾千万年後はまた(適切に処分された遺骨)のまま。人々はやがてそれの(帰還/タヒ亡/再生)を喜ぶ。そのものも必ず彼らのために(…)。



8.お、タイトル詐欺か?

 この記事のタイトルは『第三降臨者イスタロトとパイモン』でした。パイモンがまだ出てきていないので、ここで終わったらタイトル詐欺になってしまいます。

 なぜタイトルにパイモンが入っているのかというと、理由は至極単純で「イスタロトとパイモンはほぼ同一の存在だから」です。


 イスタロトが復活するという流れの話で、神の心を集めるとイスタロトが復活し過去のカーンルイアに行くのではないか、という予想をしました。ですが、神の心を集めたとてそれは「遺骨が揃った」だけに過ぎません。つまりイスタロトの「身体」しか揃っていないのです。OSのないハードは動かないように、魂・記憶・人格・願い…そうしたものを体に入れないと真に復活したとは言えません。

 つまり、イスタロトが復活する際には神の心だけでなく、その魂もなければいけないのです。それがパイモンだと私はにらんでいます。


 そもそも、パイモンはボディの各所のデザインから天空勢力と非常に強い繋がりを感じさせます。流石にミスリードで済ませられるレベルではないので、ここは素直に伏線と受け取って良いでしょう。
 天空勢力と強い繋がりがあるということは、必然的に天理の調停者との関係もあるということになってしまいますが……。


 一方で、パイモンは記憶を失っていると思しき描写があります。

 「記憶を失っている」ことは認識していますが、「その記憶の中身」は認識できていないようです。

 したがって、「パイモンが黒幕であることを黙っている」可能性は低いと考えられます。少なくともそこは安心ですね。



 ところで、この「『記憶を失っている』ことは認識しているが、『その記憶の中身』は認識できていない」という状態、どこかで聞いたことがありませんか?

 伝説任務でナヒーダが極めて分かりやすい比喩を用いて説明してくれていました。「紙に書かれた痕跡は見えるけれど、どんな文字が書かれどんな文章なのかは特定できない」……そんな状態だそうです。ナヒーダは、マハールッカデヴァータに関してこのような感覚があると述べていました。


 世界樹により忘れ去られたマハールッカデヴァータと、同一存在でありながら全く異なる道を歩むクラクサナリデビ。


 この関係、イスタロトとパイモンにも同じことが言えないでしょうか。


 マハールッカデヴァータとクラクサナリデビは同じ世界樹から生まれた意識ですが、全く異なる人生を歩んだためにその人格は全く別のものとなっています。異にして同、同にして異というこの不思議な関係をイスタロトとパイモンに当てはめると、なんだか分かりませんがうまく説明がつきます。

 もともと存在していたイスタロトはひとりでした。しかしなんらかの原因、これもマハールッカデヴァータと同じく漆黒の力による汚染だと思いますが、それによってその生を終える直前、イスタロトは自ら純粋な意識を切り離し、自身は息絶え神の心となりました。この時、世界樹の影響でイスタロトも消えたと考えられます。

 ゆえに切り離された意識であるパイモンはイスタロト時代の記憶を失っているけれど、その記憶が「あった」ことだけは覚えているという状態なのではないでしょうか。プシュパの歌で忘れ去られたと書かれていたその真相は世界樹から消えたということなのかもしれません。

 ただ、イスタロトが降臨者であるというのなら、なぜ同一存在であるパイモンはマハールッカデヴァータやスカラマシュのことを覚えていなかったのでしょうか? 降臨者なら世界樹による歴史改変の影響を受けないはずですよね。

 確かな説明はできないのですが、いくつか抜け道はあります。


 一つ目は、「イスタロトとパイモンは同一存在でありながら異なる存在である」点です。世界樹の処理としてこの二人が別人判定になっているのかどうかは正直分からないですが、「異なる存在である」と処理されているならば矛盾は生まれません。

 二つ目は、「降臨者が世界樹の改変の影響を受けないという法則は明言されていない」点です。「降臨者は世界樹に記録されない」ということはナヒーダが明言しましたが、作中で「降臨者だから元の歴史を把握できている」とはっきり説明されたことはなかった気がします。実際魔女会の面子はテイワット人でありながら世界樹の改変を認識できているので、「降臨者である」と「歴史改変の影響を受けない」は必要十分条件でない可能性はなくはないと思います。

 また、フォンテーヌのとある資料に「外来の者」≠「降臨者」という記述もあったため、ぶっちゃけ世界樹と降臨者周りの設定は割と緩い、もしくはまだ公開されていない可能性があります。その辺はまだ情報待ちです。



余談

 一応本文はここまでとなります。お読みいただきありがとうございました。ここからは、第三降臨者がイスタロト、その分身がパイモンということを前提に、これからの原神がどうなるかを予想したいと思います。


 本文中で、ナタ編で神の心が揃い、スネージナヤ編でイスタロト復活、イスタロトの力でカーンルイアに戻るのではないかと書きましたが、あれは微妙に間違っていると私は思います。

 仮にイスタロトが復活したとして、何の予兆もなくカーンルイアに戻るなんておかしいです。そこに至るまでに何かしらのストーリーがあるはずです。というか、イスタロト復活したらまず最初に氷神は天理に喧嘩売りに行くでしょう。なので、カーンルイアに向かうのは少なくとも天理と戦った後になると思います。また、天理と戦うとなるとファデュイのほかにアビス教団も元気になると思うので、スネージナヤ編終わった後にかなりカオスな状況になることが予想されます。

 で、私はひとつずっと気になっていることがあります。

 神の心は七神の象徴ということですが、七神のもつ権能はもともと古龍の大権です。神の心が集まって第三降臨者が復活した後、その権能はどこにいくのでしょうか? もちろんこれは古龍の権能が神の心に内包されているという前提の話ですが、神の心が集まったあと七神が権能を失うというのであれば、その権能の行き先は元の持ち主である元素七龍たちとなります。

 となると、この先の原神はスネージナヤ編ののちに天理・ファデュイ・アビス教団・龍王たちによるバトルロワイアルが始まるのではないでしょうか。もしそうなったらテイワットは……どうなってしまうんでしょうか。


 ちなみに、テイワット全土が戦火に包まれるという伏線自体は存在します。

彼はもともと、この「神聖なルール」で取り繕った操り人形の糸が、いずれ裁きの烈火によって焼き尽くされるであろうことを気にも留めていなかった

  ヌヴィレット キャラクターストーリー5

 (神聖なルールとはテイワットの星空と運命のことを指します)

 

 また、龍王たちが帰ってくるという伏線らしきものもあります。

 「彼ら」が何を指すかは不明ですが、龍王でありながら人に近づきすぎたヌヴィレットを他の龍王たちが見たらどうなるでしょうか……。彼ら——龍王たちが戻ってきたとき、ヌヴィレットにはこれまでの歩みを清算する「試練」が訪れるのかもしれません。


 また龍王といえ、ヌヴィレット含めそれはかつての元素七龍の後継者たちです。しかし真の「龍王」ニーベルンゲン、その後継者なんかが帰ってきた日には……。


 ニーベルンゲンの後継者についてあれこれ考えた私の過去記事がありますので、こちらも読んでいただけるとうれしいです。


 最後までお付き合いいだたきありがとうございました。


《補足》

 自分で書いておきながら矛盾を発見したので追記しておきます。

・イスタロトが降臨者である

・イスタロトは忘れられた→世界樹から消された

 降臨者は世界樹に登録されないとされているため、現状の情報ではこの二つは互いに排反となります。ただし、明らかに世界の外から来ている旅人の片割れが世界樹に登録されているため、降臨者と世界樹周りの関連は今のところあまり繋げて考えない方が良いかもしれません。

 少なくともこの記事では「神の心がイスタロトの遺骨である」ということがお伝えできれば幸いです。

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