入門英文法(和訳はプロの仕事です)
✅英文和訳は誤った勉強法?
グッドモーニング、ジャパン!合格サポーターの佐々英流(ササエル)です。今回は、英文和訳について、取り上げます。といっても、和訳の仕方ではありません。和訳はするなという内容になります。
というのも、英語を学べば学ぶほど、英文を和訳したり、逆に、和文英訳したりという、従来、実に当たり前と考えられている勉強法の弊害を痛感するからです。
というのも、英文和訳という芸当は、ハイレベルなプロが取り扱う分野だと考えるからです。一般的な学習者は、まず、英文を英文のまま、意味を取り、また、言いたいことを、そのまま英文で表現する練習こそを、積むべきだと思うのです。
✅英文和訳とは何か?
英文和訳の例として、私が特に印象に残っている映画があります。いや、正しくは、洋画の宣伝映像だったかと思います。ある人が、小型原爆を手に入れ、どこかに隠します。その隠し場所を問われ、『I don't Know. 』と答えた場面です。ですが、付けられていた字幕には、『俺のもんだ。』となっていたのです。
これは素晴らしい訳ですね。状況にあった、自然な日本語に置き換えられているわけです。普通に訳せば、『知るもんか。』とか、『教えるもんか。』といったところですね。ですが、もう一歩、その真意に迫る訳、それが、『俺のもんだ。』なのです。これは、まさに、プロの技ですね。こうした高い技能を発揮するためには、英語、日本語ともに、高いレベルに達している必要がありますね。
この様に、英文の意味を、その状況における自然な日本語に置き換えることは、非常に高度な言語スキルを要する作業です。これこそが、英文和訳の世界なのです。このような英文和訳の世界は、初学者には到底、到達できない高みと言えます。英文和訳、和文英訳は、プロの領域なんです。
✅英文和訳を学ぶべきでない理由
英文和訳や和文英訳など学ぶべきでない、最大の理由は、リスニングやスピーキングのスキルが身につかないからですね。実は、今も、英語のリスニングをしながら、この記事を書いているのですが、次々と流れている英文に対して、日本語に訳しながら意味を取るなどという愚行は、とても、処理が追いつきません。英語は英語のままで、意味を取るしかないんです。
ところが、学校英語では、英文を和訳して意味をとり、和文を英訳して英文を作る練習を繰り返します。つまり、日本語を介さないと、英語を使えない回路を、頭の中に作りこんでいると言えますね。これは、英語を道具として使う上では、悪手でしかありません。
よく、初学者が学ぶ英文『Excuse me, but please speak a little more slowly.』は、『私に、和訳する時間を下さい。』が、真意だと思います。ですが、それでは、なかなか、会話になりませんね。やはり、学校英語では、英語を英語のままで、意味をとる力が不足しているのです。
スピーキングも同じです。いちいち、云いたいことを日本語で考えて、英文に置き換えていては、会話にならないですよね。低レベルの英文であっても、どんどん、口に出していくしかありません。
こうした訓練が、和文英訳、英文和訳を中心とした、学校英語では行われていないのです。これではなかなか、使える英語は身に付きませんね。英語を日本語を介してしか、理解できない回路を築き上げていくからです。
コミュニケーションを英語で取りたければ、英語で理解する練習を繰り返すしかないんです。この練習を繰り返すことで、英語を英語で理解する回路を作り上げるしかありません。確かに、厳しい、道ではあります。勉強を続けても、一朝一夕では、なかなか、日本語のように、明確な意味はとれませんね。なんとなく、ぼんやりと意味が分かる感じです。そして、訓練を続けることで、なんとなく意味が分かる範囲が、徐々に広がっていく感じですね。それで、いいんです。
とにかく、次々と流れてくる英文に対して、『後ろから訳し上げる』とか、『S,V,O,C』を付けると言った学校英文法は、無力なんです。機関銃のように発射される英語に対応するには、英語の語順のまま、その意味を即座にとる、訓練を積むしかないんです。
というわけで、本気で英語をモノにしたいなら、日本語を放逐して下さい。トランスレートは、英語を身に着けるよい方法ではありません。
✅どうすればいいのか?
では、一体、どうすればいいのでしょうか?私が、現在、チャレンジしている方法をご紹介します。とにかく、ネイティブが喋る英語を、聞きまくるという方法です。
というのも、日本語ペラペラな外国人が、オススメしていた方法だからです。彼によると、4000時間のネイティブ音声のインプットが、とにかく必要らしいのです。これは、かなりの長時間ですね。1日10時間、聞き続けたとしても1年以上かかります。
彼は、朝起きたら、日本語を聞き始め、寝るまで、聞き続けていたらしいのです。それで、1年ほど続けたら、日本語を日本人のように喋れるようになったらしいのです。もちろん、日本語をしゃべる練習も積んだはずです。ですが、彼は、その前にまず、4000時間、日本語を聞きまくる、インプットが大事だと語っていました。
ということで、ユーチューブの色々な分野のネイティブイングリッシュ動画を、聞きながら生活しているササエルです。まだ、ゴールデンウィークあたりから始めたことなので、1ヶ月も経っていません。当然、大きな成果はありません。でも、聞き流しながらも、大体、何について、話しているのかは、分かるようになってきました。これは、私にとっては、成長ですね。
さて、どうなることやら。1年後、2年後を楽しみに。
皆さんも、是非、ネイティブイングリッシュの世界に、4000時間、身を置いてみてください。大きな変化が、生まれる事でしょう。
✅意味不明でも大丈夫?
もちろん、英文を英文のまま理解していこうという勉強法では、何をしゃべっているのか、意味不明の時が、当然にあります。果たして、英文の意味がわからないまま、続けていてもいいのでしょうか?
ササエルは、意味不明でも大丈夫だと考えています。というのも、4000時間のインプットというのは、私達が母国語を学ぶ際の学習法、そのものだからです。赤ちゃんは、ひたすら、音で言語をインプットします。ほぼ、1年間は、インプットオンリーです。その間、ほとんど、意味不明のはずですね。
その後、成長するにつれて、少しづつ上達していきます。ですが、大人の話の中には、子供には理解できないものが、存在し続けるわけです。そして、大人になってからも、もちろん全てが分かるわけではないですね。非常に専門的な話はちんぷんかんぷんですし、若者言葉も意味不明だったりしますね。
そうなんです。母国語ですら、意味不明の領域が、最後まで残り続けるのです。外国語に意味不明のものが、数多く存在することなど、恐れるべきことではありません。意味不明なものがあるのは、当たり前なのです。
そう考えれば、外国語の中に意味が分かるものがあることの方が、奇跡的なことですね。確かに、理解できない英語に、長時間、身を置くことに、不安は尽きません。ですが、勇気をもって、踏み出しましょう。そして、ネイティブの英語が、『聞き取れた、意味が分かった』この歓びをかみしめましょう。
✅ネイティブ英語の聞き方
かといって、聞き取りができない、ましてや、意味も分からない、ネイティブイングリッシュを、毎日、長時間聞き続けることは、難行苦行に違いありません。
どうすれば、この難行苦行を続けられるのでしょうか?ササエルが、実際に行っている方法をお伝えします。
①好きな分野を見る
好きな分野であれば、意味も理解しやすいですね。ササエルの場合、IT系に強いので、この分野をチェックしたりします。特に、IT系は、英語がそのまま、カタカナ語になっていたりするので、楽なんです。
②英語字幕を付ける
わからないからといって、日本語字幕を付けてはいけません。英語字幕を付けましょう。どのように、発音されていくのかを、チェックするだけで、英語力は伸びていきます。
③色々、聞いてみる
慣れてきたら、色々、聞いていきましょう。聞き取りやすいもの、聞き取りにくいもの、様々な英語があふれています。日本人向けの超スローで、丁寧な英語ばかりを聞いていても、機関銃のような実際の英語は聞き取れません。超フレンドリーなハイスピード英語にも、果敢にチャレンジしていきましょう。
④BGM代わりに使う
英語力を研くためとはいえ、一日中、英語のリスニングに集中するわけにはいきませんね。ネイティブの生の英語をBGMとして使いながら、仕事をするとか、掃除をするとか、他の勉強をするとか、工夫していきましょう。
⑤頭の中でシャドーイングする
シャドーイングは、有効な英語学習法ですが、数十分続けるのがやっとですね。そこで、オススメなのが、頭の中でのシャドーイングです。これで、和訳する回路を回避することができます。さらに、英語を英語の語順のままで、意味をとる練習にもなっていきます。
⑥同じ動画を繰り返し見る
長時間、英語を聞いていくわけですが、毎日、必ず見る動画を決めておくとよいでしょう。10分程度のものがオススメです。自分の成長が、しっかり感じられます。
⑦単語は調べない
わからない単語も多く出てきますが、極力、調べないようにしましょう。どうしても、調べたい場合でも、自分で意味を予想してから、調べましょう。とにかく、英語はたくさんの単語があります。同じ単語でも、名詞にもなり、動詞にもなります。また、数えたり、数えなかったりで、意味が変わります。各単語の、コアイメージを掴むことが、大事なんです。
⑧意味が分からなくても気にしない
先ほども説明しましたが、日本語ですら意味が分からないものがあるのです。英語に意味がわからないものがあるなどは、当たり前のことでしかありません。ネイティブ英語が、聞き取れたり、意味が分かったり、することの方が、奇跡なんです。それよりも、累計で何時間、ネイティブの英語をインプットしたか、それを指標にしましょう。この指標なら、減ることはありません。日々、積みあがっていくだけです。
⑨決まり文句を学ぶ
こうした、生の英語を聞きまくっていると、繰り返し出現する決まり文句があることに気付きます。例えば、学校英語でも学ぶ『What do you do?』などです。『職業はなんですか?』と暗記している人も多いと思います。こうした決まり文句が、なぜこういう意味になるのか、実際、どう発音されるのかなど、こうしたテーマを持って、数時間検索して聞いてみるのも、よいですね。好奇心は成長のエンジンです。
⑩止めない
始めたら、止めないことが大事です。人によって、英語を耳にできる時間は変わってくるでしょう。1日1時間を確保するのが、やっとという人もいると思います。ですが、始めたら、決して止めないこと。これが大事です。これが長期間の継続を生み、大きな成果を生むのです。
いずれにせよ、本来、英語は高校入試、大学入試のためのものではありません。英語とは、自由に使えるようになって初めて意味がある、コミュニケーションツールです。勉強ではなく、使う為の訓練を重ねていきましょう。