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386.自尊心だけは、守られてほしい。


忘れっぽい私。
でも、大事なことは忘れたくない。

だからだろう。

誰かの話を聞いている時も、
本を読んでいる時も、

この人が一番伝えたいことは何なのかを
いつも考えている。

一番伝えたいことが木の幹で、
それ以外のことは枝葉のように思うからだ。

幸せだけど苦しかったときに出会った「幹」となる言葉


高度不妊治療の末の念願の第一子。
してみたくてたまらなかった「子育て」。

初めて抱く我が子は
可愛くてたまらなかった。

でも、

全然寝ないし、
何をしてもグズっているし、
どこへ行っても泣くし、
離乳食も全然食べないし、
他の子に比べ運動面の発達も遅いし、

幸せだけど、
どうしていいか分からない
心配ごとの連続で、
苦しかった。

育児に関する悩みを
少しでも解決しようと、

保健師さんや保育士さん、栄養士さんなど
相談できる人に相談しまくっていた。

でも、アドバイスをもらって、
その通りやってみてもうまくいかないし・・・
困り果てた。

そこで、
出産前には心の準備のため読んでいたが
遠ざかっていた育児書にも、
藁にもすがる思いで手を出した。


でも、

育児書に書いてある通りにやろうとすると苦しいし、

育児書に書いてある通りに無理してやってみても上手くいかないし、

ということが続き、

育児書も読まなくなっていった。

(自分の知識や経験不足が恐ろしくなり、
たまに手に取ることはありますが・・・)

でも、一つだけ。
ずっと、忘れられなくて、
ずっと、大切にしてきた言葉がある。

私にとっての育児書の「幹」的な言葉。


その言葉によって、
悩みが解決したわけではない。

でも、

これだけを大切にして子育てしていれば、
あとのことは枝葉だから、
何とかなるんじゃないか、
そう思えるようになったという意味で
私を救ってくれた。

それは、

子どもの自尊心だけは傷つけてはいけないよ。


という言葉。


子どもを叱る事は必要だし、
怒りすぎてしまうこともあるけど、

これだけは本当に大事なことだなと思って
ずっと気をつけている。

怒ってしまったけど、

でも、ママはあなたのことが大好きだよ。
あなたにはあなたの良さがあるよ。

ただね、今、あなたのしたことについて、
このことについてダメだよって
してほしくないって、言っているんだよ。

やんちゃな長男。なんでも投げるので、よく叱ります。でも、時々ぎゅっと抱きしめて、こうやって伝えます。

自尊心だけは傷つけてはいけない

これは子供だけじゃない、
誰にだって言えることだと
実家に帰省中に改めて思った。


私の父は、ガンになり患部を全摘した。

手術は成功したのだが、
骨転移が全身に広がっているため、

骨が脆くなっており、
小さな怪我にも留意する必要がある。

また、忘れっぽかったり認知面でも心配な点がある。

そのため、母はつい、
父のことが心配のあまり、
いらぬことまで言ってしまう。

パパは、のろいから・・・
パパは、トンチンカンだから・・・など。



昨日、毎日15〜20分くらいしか散歩に行かなくなった父が
家を出てから2時間くらい帰ってこなかった。

母は、父がどこかで倒れていないか、
道に迷ったりしていないか、心配していた。

私も正直心配だった。



父は無事に帰ってきたのだが、
「一体、どこに行ってたの?心配したでしょ。」
と思いをぶつける母に対して、

「大丈夫だ。
郵便局に行ったり、買い物をしたり、
用を済ませてきただけ」

それに対し、
「それだけで2時間もかかるの」

そう言った母に対して、
父は馬鹿にされていると感じたんじゃないだろうか。

「僕を家の中に閉じ込めておきたいのか」


と父は怒りながら言った。


父は
「自分にできること」や
「自分にしたいこと」を手放さずに
必死に今を生きている。

そのことを改めて感じた。



私は今日帰省する。
一昨日、父にもそう伝えたが、
昨日の朝、父はそれを忘れてしまっていたらしい。

母からそれを聞いた時ショックだったけど、
もう一度話したら、ちゃんと覚えてくれていた。


父には、まだ
「できること」がいっぱいある。
「したいこと」だっていっぱいある。

父自身が尊厳を持って必死に生きている。

私はそのことを誇りに思うし、
何より、父には長く幸せに生きていてほしい。

母の心配な気持ちもわかるし、
私が同じ立場だったとして、
同じようなことを言ってしまうかもしれない。

また、私は離れて住んでいて、
何も普段手伝うことができていない。

毎日、母が不安や心配と向き合いながら
父と二人で生活していることを考えると
心が痛む。


でも、

父の自尊心だけは、守られてほしい

それだけを強く思う。

もちろん、
母は父の自尊心を傷つけようなんて
思っていないと思う。

ただ、思ったことがポロッと
こぼれてしまっているだけなのだろう。

疲れが溜まると、
いらないことまで言ってしまうことは
私もよくあるので、分かる。


でも、

父が
「ママにいつも馬鹿にされている」
「ママに虐げられている」と
冗談混じりではあるが、
何度も呟いていたのもあり、

私は父の自尊心が日々の生活の中で
傷ついているのではないかと
心配になってしまったから。


「パパは自分はできるって思ってるし、
できることを精一杯やっている。
それって、すごいことだと思うから。

ママも大変なの分かるけど、
あんまり言うと、
パパがかわいそうだよ。」

そう言ったら

母は「そうだよね、わかってる」

そう言ってくれた。

それだけでも、嬉しかった。


さぁ、自分はどうなんだ。

一番若くて、
健康な心身に恵まれている今こそ、

「できること」「やりたいこと」に
フルコミットしていこうではないか。

そう改めて思っています。

サポートをいただくたびに、クリエイターの一人として、 とても大きな幸せと励みをいただいています☺️✨