お姉ちゃんだから…

あの夜

おかあちゃんが決断したこと

この子は育たないからね
置いてくよ…

おかあちゃんは
泣く泣くあんたを置き去りにした

しばらくして
ひとりでうずくまっているあんたを
人間の親子が見つけて
どこかに連れて行った

そこまでは
草むらからあたしは見ていた

その日から

あたしらは
怖い思いもいっぱいしたし
辛い思いもして

それでも
お外でどうにか生き延びた

今も何とか生きている

この前ね

あんたを連れてった
人間の親子を
近くの墓地で見かけたんだ

あたしは
草むらからじーっと見てた

そしたら
あたしに親子は気がついて
優しく話しかけて来たんだ

風ちゃんに似てるね
風ちゃんの兄弟かなぁ？って

優しそうな人たちだったから

ああ…
あんたは今
幸せに生きているんだろう

そう感じた

偶然ね
あんたが暮らす家の前を通った時に

窓際でまったり
日向ぼっこしてるあんたを見かけたよ

良かった

あたしの可愛い妹が
ここで元気に生きててくれている

目の当たりにしたら
何となく嬉しい気持ちになった

これからも
見守っているよ

だって

あたしは

あんたのお姉ちゃんなんだから…