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思考を重ね合わせる新概念:Quantum-of-Thought (QoT) プロンプトのすゝめ

割引あり

大規模言語モデル(LLM)の登場以降、世の中には多彩な「プロンプトエンジニアリング」手法が誕生してきました。Zero-Shot、Few-Shot、Chain-of-Thought (CoT)、Tree-of-Thought (ToT)――それぞれユニークなアプローチでモデルの推論力を引き出します。

そんな中、今回は「Quantum-of-Thought (QoT)」と名付けた、ちょっと風変わりな新概念のプロンプト手法をご紹介します。さらに、QoTプロンプトを自動で生成してくれる「メタプロンプト」も合わせて解説。読後には、あなた自身が自由にQoTスタイルの思考をLLMに実行させられるようになるはずです。<検索しても出てきませんので、悪しからず。。>




はじめに

昨今、ChatGPTやGPT-4などの強力な言語モデルが広く使われはじめ、プロンプトエンジニアリングの工夫によって得られる成果が大きく変わることが知られています。

  • Zero-Shot で何も例を与えなくても多彩なタスクを実行できたり

  • Few-Shot の例示でタスク特化の出力を誘導できたり

  • Chain-of-Thought (CoT) のように推論過程を明示化させることで複雑な問題も解けたり

このように様々な手法が進化してきました。一方で、新たなアイデアとして登場した「Quantum-of-Thought (QoT)」は、重ね合わせ→干渉→最終的な崩壊という“量子力学的な比喩”を使って、複数の思考を同時に維持しながら推論を進めるユニークな手法です。


従来のプロンプト手法とQoTの位置づけ

CoTやToTの一歩先?

  • Chain-of-Thought (CoT)
    直線的な推論記述で答えの妥当性を高める手法。モデルに「ステップバイステップで考えてみましょう」と促すだけで、計算過程や理由づけを文章に出力させ、正確さが向上します。

  • Tree-of-Thought (ToT)
    推論を分岐させ、木構造上で探索する手法。モデルが同じ問題に対して複数のアプローチを候補として広げ、最適解へ到達します。

  • Quantum-of-Thought (QoT)
    今回ご紹介する新概念。CoTやToTと異なり、複数の思考が「重ね合わせ状態」で同時に存在し、互いに干渉し合った末に最終解に“崩壊”する流れを意図的にモデルに書き出させます。


Quantum-of-Thought (QoT) の基本構造

QoTでは主に3つのフェーズが存在します。

重ね合わせ(Superposition)

  • 目的

    • 問題に対する複数の思考パターンを、あえて「同時」に吐き出させる。

    • 例:違う視点のアイデア、矛盾する仮説、補完し合う案…などが入り混じった文章を作り上げる。

  • メリット

    • 初期段階で多様な着想が得られ、発想の幅が広がりやすい。

  • 注意

    • モデルが一貫性を求める性質上、意図どおり混沌とした出力を誘導するには明確な指示が必要。

干渉(Interference)

  • 目的

    • Superpositionフェーズで並列生成された複数の案を、モデル自身に相互評価・融合・対立・除外させる。

    • ここで「アイデアAとアイデアBの共通点が一部ある」「AとCは完全に相容れない」などが可視化される。

  • メリット

    • 思考同士が“干渉”することで、単なる複数案のリストとは異なる新しい案や気づきを誘発できる。

  • 注意

    • 指示が曖昧だと、モデルは「ただそれぞれの案を羅列する」だけになりがち。

崩壊(Collapse)

  • 目的

    • 重ね合わせ状態の思考を最終的に“一意の解や結論”に収束させるフェーズ。

    • 量子力学風に「波動関数の崩壊」と表現し、複数の可能性のなかから最適なひとつを確定させるイメージ。

  • メリット

    • 結果として、混沌の中から「論理的にもまとまった解」が得られやすい。

  • 注意

    • 干渉フェーズで整合性チェックをしっかりしていないと、結論がご都合主義になりやすい。

フェーズ関係図

以下はフェーズ間の流れイメージです。

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